
(おち・ふみお)1957年12月札幌生まれ。北大法学部卒業後、北海道電力入社。97年電気事業連合会企画部時代にCOP3に立ち合い、札幌ドームを会場とした2008北海道洞爺湖サミット環境総合展事務局長。環境問題・エネルギー問題・危機管理の専門家。札幌なにかができる経済人ネットワーク主宰
首都直下地震と臨時政府設置シナリオ
誰が見ても、大阪圏への利益誘導に見える「副首都法案」が議決された。大阪も愛知も福岡も南海トラフ地震が来たらアウトである。日本の臨時政府と数百万人の避難民受け入れは北海道にしかできない。利権や政治とは一線を画して北海道の役割を論じたい。 |
昔の原子力防災や危機管理の経験からというよりも、「シン・ゴジラ」とドラマ版「日本沈没」とかわぐちかいじ氏の「太陽の黙示録」を参考にしたシビアシミュレーションを考える。
阪神大震災、東日本大震災、能登半島地震、北海道ブラックアウトと今、熊本で起きている被災地の現状を想像しながら読んでいただきたい。
2027年9月30日0時55分東京湾沖30キロメートルを震源地に震度7の地震が発生。30メートルを超える大津波が押し寄せ、東京都心の機能は崩壊する。首都圏の情報は途絶え、携帯電話もつながらなくなる。一体、どれだけの被害が発生しているのか現地からの情報が伝わらないままに、関東大震災と東京大空襲以来、日本が経験したことのない長期の非常事態と復興の歴史が始まる。
シン・ゴジラでは、ゴジラの熱線で霞ヶ関は全滅し閣僚の大半が死亡して臨時政府は立川の広域防災基地に移動した。日本沈没の関東圏壊滅を前提とすると、政府各省の現在の業務継続計画に定めている立川広域防災基地とその周辺施設に移動した政府機能も活用できない。高市総理は新たに政府業務継続計画に位置付けられた北海道にすべての政府機能を持っていくことを決断する。
羽田空港も使えない状況で、高市総理と奇跡的に無事だった議員宿舎から官邸に駆けつけることができたわずかな閣僚はヘリコプターで自衛隊基地へ移動しそこから自衛隊機で無傷の千歳空港へ直行。既にドーム職員と自衛隊員が召集され、臨時政府施設として設営されていた札幌ドームのヘリポートへ移動する。
すぐに、札幌合同庁舎の各省庁の出先機関のトップと札幌市、北海道の危機管理対策メンバー及び自衛隊北部方面総監以下で首都直下型地震非常災害本部を立ち上げる。次々と駆けつける閣僚と内閣府、防衛省、昨年設立されたばかりの防災庁が札幌ドームグラウンドの各省に割り当てられたブースでの活動を開始する。当然、その設営から活動内容までは詳細かつ精密にマニュアル化されていなくてはならない。
札幌ドームに取材したところでは、もともと市民の災害避難所としての準備はされていて、食料や水や電気、通信インフラも整っている。広い駐車場には何機のヘリコプターも着陸できる。実は私も2008年北海道洞爺湖サミット記念総合環境展の事務局長として、この広大な会場のレイアウトに参加した経験がある。充分に機能を果たすことは間違いない。