上紋峠の周辺で進む国内最大規模の風力発電計画を追う【第5回】
再エネを「錦の御旗」に掲げて進められる北海道の環境破壊

2026年09月号

宗谷管内豊富町では近年、ユーラスエナジーHDなどによる風力発電所の建設が相次いだ。福永地区の久世薫嗣さんの住宅と「芦川ウインドファーム」の間の距離は直近で1.8㎞。事業者側に騒音調査を要求し、専門家に解析を依頼している



士別市と滝上町との境界にある上紋峠の周辺で進む、陸上型では国内最大規模の風力発電所(風発)の建設計画。この9月には環境影響評価(アセスメント)法に基づく「配慮書」が公表されるが、滝上町内では計画に反対する住民が町長に「意見書」を提出し、疑問点を話し合う場を創ろうと模索する人たちも動きだした。そんな中で、すでに巨大風車が林立する宗谷管内の状況について、豊富町内で騒音被害などの問題に取りくむ住民の話も聴いた。「地産地消の再エネ事業」の原点に戻り、北海道を「エネルギー植民地」にさせないためにどうすべきか──あらためて考えてみた。  (ルポライター・滝川 康治)

巨大風車が林立する豊富町で事業者に「反対」意見書を提出


 ゆるやかな丘陵地帯が続く宗谷管内では、大型風力発電所(風発)の集中立地が進み、20~30年前とは風景が一変した。同管内のどこに行っても巨大風車が林立する。
 豊富町内に建設された、再エネ業界最大手・ユーラスエナジーHDの「芦川ウインドファーム」も、そのひとつだ。同社HPによると、一般家庭7千6百世帯分の消費電力に相当する出力4千3百キロワットの風車31基を建設し、昨年までにすべてが稼働しているという。
 7月下旬、同町の福永地区で暮らす久世薫嗣(しげつぐ)さん(1944年、岡山県生まれ)を訪ねた。
 40代半ばで兵庫県から豊富に移り住み、酪農やチーズ工房の仕事に携わったが、移住当時に20戸ほどいた福永地区は、今では戸数が半減し、農協の合併も進んだ。そこにやってきたのが巨大風車の集中立地。景観の悪化などを理由に建設を疑問視した久世さんは一昨年、周囲の酪農家とともに「道北の巨大風車を考える会」を設立した。
 これらの動きを受けてユーラス側は、風発の周辺6地区に対して一度だけ、“協力金”の名目で3百万円ずつ支払ったという。まわりの農家は戸惑ったが、久世さんは『金は受け取り、言いたいことを主張すればいい』と助言。風車に近い3戸は防音工事が行なわれ、計画を知らずに新規就農した人は、「ここでは酪農をやっていけない」と、風車から離れた地域に移転した。

「道北の巨大風車を考える会」を設立した久世薫嗣さん

滝上町茂瀬地区にある営農飲雑用水の取水施設。巨大風車の建設で水源が汚染される恐れも

千歳署内で巡査部長の拳銃暴発

道警不祥事から考える
盗撮警官に不倫の余罪

上紋峠風力発電計画、
再エネを錦の御旗に進む環境破壊

前立腺がん早期発見について坂泌尿器科の笹尾副院長に訊く

久世さん宅の近くには別の風車群が林立する

北海道内で稼働・計画中の陸上型風力発電所(佐々木邦夫さん作成。日弁連主催の公開学習会の資料から。26年7月10日時点)

着工に至るまでに予定される環境アセスメント手続き(GPIの配布資料から)

「最大で50基、30万kW」の建設計画がある上紋峠付近の山岳地帯

「道北の巨大風車を考える会」を設立した久世薫嗣さん

久世さん宅の近くには別の風車群が林立する

北海道内で稼働・計画中の陸上型風力発電所(佐々木邦夫さん作成。日弁連主催の公開学習会の資料から。26年7月10日時点)

滝上町茂瀬地区にある営農飲雑用水の取水施設。巨大風車の建設で水源が汚染される恐れも

着工に至るまでに予定される環境アセスメント手続き(GPIの配布資料から)

「最大で50基、30万kW」の建設計画がある上紋峠付近の山岳地帯

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