寿都発・ひとりの町民の闘い(後篇) 元同町在住・田原 誠
核のゴミ誘致のまちで多選首長が招いた行政と社福との歪んだ関係

2026年07月号

町が丸抱えする形で施設の建て替えが行なわれた社会福祉法人徳美会の特別養護老人ホーム「寿都寿海荘」(工事終盤の2023年暮れ撮影)

今から5年前、“核のゴミ”最終処分地の選定に向けた「文献調査」で揺れる後志管内寿都町に、地元出身の田原誠さん(77)が半世紀ぶりでUターンした。核ゴミ問題について片岡春雄町長の対応を質す一方、町内の社会福祉法人徳美会(徳野智信理事長)が運営する特別養護老人ホーム「寿都寿海荘」をめぐり、「まだ使える施設を町の丸抱えで建て替え、多額の補助金を支出したことは問題。官製談合の疑いもある」として道に対する監査請求などの活動を展開した。その過程で行政と福祉法人との歪んだ関係が浮き彫りに──。3月号の前編に続き、ひとりの町民の闘いを紹介する。

(本誌編集部)

福祉補助金の拠出と核ゴミ問題


 私は十勝の清水町から生まれ故郷の寿都町に移住し、5年間におよぶ核ゴミ反対運動に取り組む中で、地域性や官僚的な縦社会、多選町長の下での監視機能の低下などの壁に直面し、頭を悩ませ続けた。
 寿都は漁業や水産加工の町として知られているが、隣の黒松内と同じく福祉の町でもある。
 核ゴミ地層処分事業の入り口となる「文献調査」を持ち込んだ片岡春雄氏は、2021年10月の前回町長選に勝利すべく盤石な支持を固める対策を打った。そのひとつが町内の社会福祉法人「徳美会」などに対する補助金の拠出だった──。こう捉えた私は、片岡町長の支持基盤である徳美会や寿都漁協と町との“補助金つながり”を指摘し、公職選挙法違反容疑での告発や公文書不存在処分の取り消しを求める訴訟などに取り組んだ。また徳美会が運営する特別養護老人ホーム「寿都寿海荘」の施設整備事業をめぐり、道に対する監査請求をはじめ官製談合案件として道警への告発につなげた。
 移住後の5年間にわたり、盤石に映る片岡町政に問題提起した数々の告発や訴訟などが町民や道民、国民に伝わることを願った。
 しかし、町民の大半は「しがらみのないよそ者の田原だからできるが、自分たちには無理だ」との思いが先立つようで反応は鈍く、私自身も苦悩した。そして残念ながら片岡町長の議会や町民を無視する姿勢は、私が函館に転居したこの春まで何も変わらなかった。
 一方、訴訟などの相談を重ねた6名の弁護士はもとより、町役場や後志総合振興局、道庁、警察署、検察庁、裁判所とあらゆる部署で「なぜ、告発者は田原さんひとりなの?」との問いかけに度々出会った。

(たはら・まこと)1949 年寿都町生まれ。北海道教育大を卒業後、道内各地で商事会社や水産加工会社、電気関係の業務に従事。2001年核ゴミ問題をきっかけに帰郷し、片岡町政の諸施策を追及した。家族の事情により今春、函館市内に転居

「寿都寿海荘」など徳美会が運営する福祉施設は町とのつながりが強い
(建て替え前の22年3月)

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多選を重ねる寿都町の片岡春雄町長
(2021年10月の町長選で)

「道の駅」から望む寿都漁港。漁協の運営には課題が山積している

(たはら・まこと)1949 年寿都町生まれ。北海道教育大を卒業後、道内各地で商事会社や水産加工会社、電気関係の業務に従事。2001年核ゴミ問題をきっかけに帰郷し、片岡町政の諸施策を追及した。家族の事情により今春、函館市内に転居

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