
廃棄されたライフル銃は、2017年に亡くなったハンター仲間から譲り受けた“形見の1挺”だった
(2018年9月、砂川市内)=北海道猟友会砂川支部提供
ヒグマ駆除の銃、7年前に廃棄
札幌地検が代理人らへ経緯説明
本誌前号で報告した、ヒグマ駆除ハンターの猟銃「廃棄」問題。当該銃を管理していた捜査機関は同号発売直前の5月中旬に改めてハンターの代理人へ経緯を説明する場を設け、のちには地元報道の取材にも応じることになった。廃棄処分は飽くまで適正で、手続きに問題はなかったとの説明。当事者のハンターはこれに納得できず、もとより廃棄の目的が理解できないと訴える。「そもそも、なぜ銃の処分に同意させる必要があったのか」――。
取材・文=小笠原 淳 |
自治体の依頼でヒグマを駆除した行為で法令違反に問われ、所持していた猟銃4挺を警察に押収された砂川市のハンター・池上治男さん(77)。ほどなく銃の所持許可を取り消され、これを不服として処分の撤回を求める裁判を2020年5月に提起した。最上級審まで続いた争いが本年3月に決着し、池上さんの主張がほぼ全面的に認められた顛末は、本誌を含む多くの報道機関が伝えたばかり。前号でも報告した通り、4月上旬には押収銃のうち1挺が7年ぶりに所有者のもとへ返還された。
だがこの時、最も重要な銃が返還の対象とならなかった。ほかでもない、問題とされたヒグマ駆除行為に使われたライフル銃だ。池上さんの代理人を務める中村憲昭弁護士(札幌弁護士会)がその行方を尋ね、銃を管理している筈の札幌地方検察庁へ問い合わせたところ、返ってきたのは想定外の回答だった。曰く、「適切に廃棄しました」――。
問題の銃は、警察が作成して池上さんが署名した『所有権放棄書』に基づいて廃棄処分となったのだという。これを受けた池上さん側が改めて検察に詳しい説明を求めた結果、5月中旬になってその機会が設けられた。前号発売直前の同14日午後に札幌地検を訪ねた中村弁護士は、事後の取材にこう明かしている。
「とくに新しい事実は示されず、改めて『所有権放棄書がある』『廃棄は誤っていない』との説明でした」
無論のこと、当事者としてはその説明に納得できる筈もない。
「放棄書に署名があるかどうかは、問題ではありません。裁判まで起こしてこれだけ所持許可取り消し処分の正当性を争っている人が、廃棄に同意するわけがない」
実際、池上さんは『放棄書』へ署名したとされる時期よりも後に、押収された銃の返還を求める行動を起こしていた。