上紋峠の周辺で進む国内最大規模の風力発電計画を追う【第2回】
費用増に国頼み、自然破壊の再エネ開発に未来はあるのか

2026年06月号

滝上町の大規模風力発電所予定地に近い地元住民を対象に開かれた説明会。「再エネ特別措置法」に基づくもので14人が参加。対象住民を限定したが、機材輸送時の騒音や風車による事故、自然環境への影響などを懸念する声が相次いだ
(4月16日、同町内で)

オホーツク管内滝上町と上川管内士別市との境界部に位置する上紋峠の周辺で、最大で50基、出力30万キロワットという日本でも最大規模の陸上風力発電所の建設計画が多くの道民に知られぬままに進む。滝上町内で初の住民説明会が開催(先月号を参照)されたのに続き、4月16日には環境アセス制度に基づく法定説明会も──。事業計画が周知されるにつれ、住民間での賛否の声が少しずつ顕在化する一方で、後志管内余市町では関西電力の計画に対し、齊藤啓輔町長が「不同意」を表明した。道内の状況を俯瞰しながら本稿後半では、再エネ問題に明るい佐々木邦夫さんに風力発電の今について訊いた。

(ルポライター・滝川 康治)

滝上町で再エネ特措法の説明会
騒音や環境、コストなどに懸念


 再生可能エネルギー(再エネ)企業大手の(株)グリーンパワーインベストメント(以下GPI)による風力発電所(風発)建設計画をめぐり、滝上町で初めて開催された住民説明会(3月11日)でのやり取りを、先月号で紹介した。それから間もない4月16日、GPIは町内8地区の住民に限定し、「再エネ特別措置法」に基づく説明会を開いた。
「最大50基、30万キロワット」という、国内の陸上型風発では最大規模となる計画の入り口段階で、事業者には環境アセスメントの「配慮書」などの作成が義務づけられている。3月時点では「今年6月」とされた「配慮書」の公表は、9月にずれ込み。それらのスケジュールを念頭に、今回の法定説明会に至った。
 GPIは、ガイドラインに基づいて町と協議し、建設予定地に近い8地区の住民のみを説明会の参加対象にした。市街地の住民らは除外され、「傍聴は認める」という運営に──。参加した町民は14人だった。
 最初に発言したのは、建設予定地に最も近い地域で暮らす女性。
「わたしの家は(巨大風車の機材などを運ぶ)道道61号から10メートルも離れていません。秋田での風車建設のテレビ番組も観たけれど、50基もあると何百回も家の前を通ることになる。それらが詳しく分からない限り、雲をつかむような話。住んでいる人間はどうなるんですか」
 と切実な不安を述べたが、GPI側は「現在も工事車両や輸送車は走っており、風車の運搬が特別うるさくはない。(他地域では)住民の皆さんから『眠れない』などの苦情は聞いていません」と意に介さない。
 自然ガイドの仕事に携わる男性は、
「何もなかったところに人工物ができることの問題を強く感じる人間がいることを分かってほしい。自分はスノーシューで上紋峠付近を案内しているけれど、そうした仕事ができなくなる可能性がある」
 と前置きして、予定地周辺での希少猛禽類や、渚滑川流域での日本ザリガニの生息などに対し、事業者側が配慮するよう求めた。

(ささき・くにお)1967 年、稚内市生まれ。札幌市内で20年間ほど測量コンサルタント業務の後、Uターン。稚内市議などを経て石狩市に移住。現在、北海道風力発電問題ネットワーク代表、(一社)北海道自然保護協会常務理事などを務める

ヒグマ駆除ハンター 違法処分で押収された猟銃戻らず

団体交渉拒否で提訴された札幌の美しが丘病院

高齢者福祉施設の指定管理の扱いで新ひだか町が業者と議会で二枚舌?

道内初。カレス記念病院の長谷医師がロボット手術で国際B級ライセンス
新設の呼吸器外科で取り組むダヴィンチによる肺がん治療

上紋峠にほど近い藻瀬狩山に事業者が設置した風況調査用の観測塔(中央部分)

上紋峠から滝上方面を望む。一帯にはヘアピンカーブや覆道が多い

9月に公表予定の「配慮書」が環境アセスメントの第一段階に
(事業者側の説明資料から)

建設予定地には国有林が広がり、大方は保安林に指定されている

上紋峠にほど近い藻瀬狩山に事業者が設置した風況調査用の観測塔(中央部分)

(ささき・くにお)1967 年、稚内市生まれ。札幌市内で20年間ほど測量コンサルタント業務の後、Uターン。稚内市議などを経て石狩市に移住。現在、北海道風力発電問題ネットワーク代表、(一社)北海道自然保護協会常務理事などを務める

上紋峠から滝上方面を望む。一帯にはヘアピンカーブや覆道が多い

9月に公表予定の「配慮書」が環境アセスメントの第一段階に
(事業者側の説明資料から)

建設予定地には国有林が広がり、大方は保安林に指定されている

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