「旭川いじめ凍死事件で和解案可決」に思う
「責任」を学校現場に押し付け真の解決を遠ざける金銭決着

2026年04月号

手記を寄せた金子圭一氏

旭川市立北星中学校元校長・金子圭一氏


 2021年3月下旬に旭川市内の公園で凍死体となって発見された廣瀬爽彩(さあや)さん(当時14歳)の遺族が同市を相手取り、約1億1600万円の損害賠償を求めた訴訟で2月26日、旭川市議会は旭川地裁が示した和解案を賛成多数で可決。遺族側に総額7千万円が支払われることが決定した。すでに遺族が日本スポーツ振興センターから受領した3千万円が和解金額の一部に充当されることになり、市の新たな負担は4千万円。裁判では、市が当初から責任と支払い義務を認めていたため金額の折り合いが主な争点だった。
 だが、この金銭決着に真正面から異議を唱えているのが、廣瀬さんが入学し、いじめを受けたとされる旭川市立北星中学校の元校長・金子圭一氏(66)だ。本誌が24年11月号から検証を続けている「旭川いじめ凍死事件」は、地元月刊誌やマスメディアによって多くの誤報が流布されたこともあり、単なる「加害と被害」の図式で捉えるには非常に危うい側面がある。そして本人の死が自殺だったという認定もまた危ういと言わざるを得ない。「そのような中で金銭決着が図られるのは、真の解決を遠ざけることにほかならない」。こう指摘し、怒りを隠さない金子元校長が、手記を本号に寄せた──。

(本誌編集長・工藤年泰)

「自殺」への根本的な疑問


 私には、長らく旭川市内で病院経営に携わってきた医師の従兄弟がいる。この従兄弟は「旭川いじめ凍死事件」に巻き込まれた私の身を案じて2025年4月19日、地元で講演会を開き、医師の立場から文春オンラインなどで過熱した本件報道に対し「WHOの自殺報道に関するガイドライン」を引用し、次の点で内容にNGを出して警鐘を鳴らした。
 ①トップニュースで報道しない②繰り返し報道しない ③長時間報道しない ④写真や遺書を公表しない ⑤自殺手段の詳細を報道しない⑥自殺の理由を単純化して報道しない ⑦自殺の美化やセンセーショナルな報道は避ける ⑧宗教的、文化的固定観念を用いて報道しない──。
 加えてフランスの社会学者、エミール・デュルケームの『自殺論』(中央公論)から「自殺の定義」を次のように紹介し、これを根拠に廣瀬爽彩さんの凍死は自殺ではないと断じた。

第三者委の報告書(22年9月)では「第6本件重大事態に係る報道の誤り」の章全体が墨塗りされた

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旭川市内の永山中央公園に設置された献花台(管理事務所内)

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