Agri Report ──北の大地を拓く新・農業人【8】
品質と付加価値にこだわり抜いたジャージー乳牛の「超少頭数飼育」

2026年01月号

放牧シーズンが終わった「ジャージーの箱庭」のパドック(運動場)でくつろぐ牛と飼い主の藤田龍太さん(11月20日撮影)

石狩管内当別町の小さな牧場「ジャージーの箱庭」


2023年春、石狩管内当別町の丘陵地帯の一角に、日本国内では数少ないジャージー種の乳牛を飼う小さな牧場が誕生した。その名は「ジャージーの箱庭」、開設を機に当別に移り住んだ20 ~30代の若き夫婦が切り盛りする。牧場の目標は、人間も動物も対等に幸せを享受しあえるような場を創ること。10頭以下の“ 超少頭数飼育” で家族同然に暮らし、その牛たちからおすそ分けしてもらう生乳を、少量生産だからこそできる品質や殺菌方法、付加価値にこだわり抜いてみずから加工し、適正価格で消費者の元に届ける──。すでに牛乳を購入する会員は90世帯ほどに増え、経営の基盤が整ってきた、「人も牛も幸せな牧場」をめざす営みについて話を訊いた。

(ルポライター・滝川 康治)

動物好きが高じ5年の酪農研修
23年にジャージー牛の牧場開設


 当別町の中心部から車で10分余り、スウェーデンヒルズの西側に広がる、ゆるやかな丘陵地帯の一角に2023年春、牛乳や乳製品の工房を併設した小さな牧場が誕生した。この地に新規就農した藤田龍太さん(1994年、札幌市生まれ)と妻の里世さん(99年、大樹町生まれ)が営む「ジャージーの箱庭」である。
 放牧シーズンが終わった11月下旬、牧場を訪れると、褐色の体毛に覆われ、鼻先が白っぽい、9頭のジャージー牛がパドックでくつろいでいた。冬場は、倉庫を改造した牛舎とパドックを行き来できる構造にしてあり、牛たちは伸び伸びと暮らす。
「僕は子どものころから小動物が好きでしたが、二十歳になるまで農家の人と全く出会うことはなかったんです。23歳の時に動物と接することを一生の仕事にしようと考え、5年間実習をして、新規就農者に認定された。ジャージーの飼育を志向したのは、牛たちに野性味があり、顔や外見もかわいいからです」
 と龍太さんが話す。
 日本では主流になっているホルスタインの乳牛に比べ、ジャージーの生乳生産量は半分以下である。大型化が進む酪農の現場で、10頭弱の極小規模でジャージー牛を飼い、生乳を出荷するような経営スタイルでは、とても生活はできない。
 そこで、牧場のテーマを「人間も動物も対等に幸せを享受しあえる共存」と位置づけた藤田さん夫妻は、小さな酪農を六次産業化していく道を選んだ。ジャージー牛の生乳を、高温殺菌や脂肪球を破砕するホモジナイズ処理せず、品質や付加価値にこだわり、牛乳やアイスクリームミックスに加工している。ふたりの生き方に共鳴した顧客が増えており、目標の実現に向けた歩みが続く。

牛たちと藤田龍太さん・里世さん夫妻

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当別町の丘陵地帯に広がる牧場の夏の風景(提供=ジャージーの箱庭.最後の写真を除く3点も)

牛舎やパドックのそばに工房を建設し、牛乳のパック詰め作業

会員宅には900ミリリットル容器で届けるが、写真のような小型容器でも製造

倉庫を改修した牛舎から出てくる牛たち。冬場は牛の都合に応じてパドックと自由に行き来する

当別町の丘陵地帯に広がる牧場の夏の風景(提供=ジャージーの箱庭.最後の写真を除く3点も)

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会員宅には900ミリリットル容器で届けるが、写真のような小型容器でも製造

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