
北海道知事 鈴木 直道 氏
2025年の北海道で内外からとりわけ注目されたのは、ラピダス社による千歳市の次世代半導体工場でパイロットラインが完成し、世界最先端である2ナノ半導体のGAAトランジスタの試作に成功したことだろう。半導体でメイドイン北海道の量産化に期待が高まるところだが、そんな朗報の反面で道民、国民を脅かしたのがクマの出没被害。道では関係機関と連携しヒグマ対策の強化に全力をあげる考えだ。コロナ禍を経て順調に回復してきた観光では来春から宿泊税が導入されるが、観光産業への支援を含めて使途をめぐる議論はまだ道半ばの状態で、“観光立国”を目指す道庁として正念場を迎えている。泊原発再稼働を含め課題が山積みの中で北海道をどのように舵取りしていくのか、鈴木直道知事(44)に訊いた。
(11月20日収録 聞き手・工藤年泰)
加速したデジタル産業の集積
ヒグマ対策強化は喫緊の課題
──本年を振り返って、ご自身の感慨はいかがですか。
鈴木 2025年を振り返りますと、戦後80年を迎える中、北方領土の早期返還に向け、ご高齢となられた元島民の方々の切実な思いに寄り添い、全ての省庁と都府県のご協力を得て全国で署名運動を展開しました。今後も粘り強く努力を続けてまいります。
また、長引く物価高により道民の皆様の生活や事業者の方々の経営環境が非常に厳しい状況にある中、影響緩和に向けた累次の経済対策を実施してきており、引き続き必要な対応を進めてまいります。
さらには、道警察や自衛隊との連携などによるヒグマ対策のさらなる強化に取り組んでいるところであり、10月以降、道内の養鶏場で確認された高病原性鳥インフルエンザについても、職員一丸となって防疫措置等の対応を行なってきました。
一方、北海道のシンボルでもある道庁赤れんが庁舎が5年以上に及んだ大改修を終えリニューアルし、オープン後1カ月で10万人以上の方々にお越しいただきました。引き続き北海道の歴史・文化や観光情報を発信する拠点として愛される施設となるよう取り組んでまいります。
GX(グリーン・トランスフォーメーション)やAI(人工知能)、DX(デジタル・トランスフォーメーション)などデジタル産業の集積への動きも急速に進んでいます。
この中でラピダス社の次世代半導体については、2025年4月にパイロットラインの立ち上げ、3カ月後にはメイドイン北海道の2ナノ半導体のGAAトランジスタの試作に成功し、内外から注目を浴びることになりました。
なお25年は、太陽光発電事業などの違法開発行為が散見されたところであり、今後、再エネ投資にあたり、違法な投資は容認しないことを大前提に、新たに地域住民の理解、自然や生活環境への配慮など、事業者に必要な対応を求める私の考えをメッセージとして発信し、その遵守を強く求めながら地域と共生する再エネの導入を進めてまいります。