医療現場で散った命⑱
看護師遺族 和解へ

労働災害の申請がことごとく退けられ、村山さん夫妻が最初の行政訴訟を起こすころには愛息の急逝から 5年が過ぎていた。
(2018年4月24日午前、釧路市内)
パワハラ死追及に一区切り
再発防止願い続けた10余年
新人看護師が職場のハラスメント被害を訴えて命を絶った事件で、両親が勤務先を訴えた裁判が年内にも和解終結する見込みだ。労働災害の不支給決定を機に始まった遺族の闘いは、10年あまりを経てひとつの節目を迎えることになる。賠償命令という成果こそ得られないものの、投じた一石は小さからず。医療現場の過重労働やハラスメントの再発防止を訴える声は、今後もなお絶えることはない。
取材・文 小笠原 淳
1968年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)。56歳
闘う目的、賠償にあらず
願いは一貫「再発防止を」

ハラスメントなどを裏づける物理的な証拠がほとんど残っていない中、本人の遺書は数少ない手がかりの一つに

村山百合子さんは結婚・出産後も看護師の仕事を続け、譲さんを筆頭に4人の子を育てた(室蘭市内)

看護協会から届いた書類では、何者かの手で村山譲さんの属性が「個人会員」に変更されていた
=画像の一部加工は本誌、以下同
村山百合子さんは結婚・出産後も看護師の仕事を続け、譲さんを筆頭に4人の子を育てた(室蘭市内)
看護協会から届いた書類では、何者かの手で村山譲さんの属性が「個人会員」に変更されていた
=画像の一部加工は本誌、以下同
ハラスメントなどを裏づける物理的な証拠がほとんど残っていない中、本人の遺書は数少ない手がかりの一つに
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