“核のゴミ”レポートPART46 寿都町長選挙の論点と「概要調査」の行方
試される両陣営の熱意

2025年11月号

〝核のゴミ〟文献調査に関する寿都町民アンケートを実施した研究者グループが開いた報告会。全戸対象に調査したが、回収率は15%ほど。核ゴミ問題の是非に触れたくない、あるいは無関心という層が結構いることが浮き彫りに──。それでもNUMOや現町政に対する疑問の声は、賛否を超えて多かった(9月13日夜、寿都町内で)

町民へのアンケートで示されたNUMOや片岡町政への不信感

任期満了にともなう寿都町長選挙が10月28日(同23日告示)に投開票される。9月1日現在の選挙人名簿登録者(有権者)数は2205人。前回は、現職の片岡春雄氏と前町議で核ゴミ反対や脱原発を掲げる越前谷由樹氏との一騎討ちになり、200票余りの僅差で現職が勝利した(投票率84.27%)が、今回は7選をめざす現職に「概要調査」への移行反対を訴える新人の大串伸吾氏が挑む。主要な論点は、同調査の是非や住民投票の時期、地域振興のあり方などになる見込みだ。9月に行なわれた社会科学系の研究者グループによる核ゴミ問題に関する町民アンケート調査の報告会や、NUMO主催の地層処分技術シンポジウムを取材しながら選挙戦の行方を追った。

(ルポライター・滝川 康治)


アンケートの回答数は少ないが54%が「文献調査でやめるべき」


 “核のゴミ”最終処分場の選定に向けた「文献調査」の影響を把握するために、東京などの社会科学者のグループが今年8月、寿都町の全戸(1291世帯)を対象にアンケート調査を行なった。9月13日には調査結果の報告会が開かれ、15人ほどの町民が耳を傾けた。
 調査を実施したのは一橋大の山下英俊准教授(資源経済学)らでつくるグループ。諸外国の事例とも比較しながら、立地選定のあり方や地域住民の関わり方などを検討してきた。今回は、文部科学省の科学研究費補助金(科研費)を活用し、「文献調査」の終了に合わせて町民対象のアンケートを計画したという。
 日本郵便の「タウンメール」を利用して町内の全戸にアンケート用紙を届け、回答を投函してもらう方法などを採用。同一世帯に複数の人が住んでいる場合には、性別や年齢に偏りのない方法を工夫したという。
 192世帯から回答があり、回収率は14.9%。男性の回答者が62%を占め、中でも50~70代からが多い。また、寿都町に60年以上居住する人の割合が3分の1を占めていた。こうした結果について山下氏らは「母集団の代表性には疑問がある」「回答者に偏りがある可能性あり」と分析している。

6期24年間の実績をもとに7選をめざす現職の片岡春雄氏

若さを強調し「概要調査」反対を訴える新人の大串伸吾氏

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NUMOの説明に対する質問には「納得できない」が4割強に(報告資料から)

文献調査を受け入れた影響については「周辺関係や人間関係に悪い影響があった」との回答が6割前後を占めた(同)

「処分技術シンポ」終了後、報道関係者のぶら下がり取材に応じるNUMOの山口彰理事長(左)

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