倶知安町・羊蹄山麓の違法開発を追う【2】
建設会社の社長が語った「停止勧告」までの全真相

2025年11月号

倶知安町巽地区の開発現場。左の建物は停止勧告を受けて建設工事が中断した別荘用の住居(8月下旬)

テレビなどのマスコミが大きく取り上げた倶知安町巽地区の違法開発事件の続報だ。都市計画法の違反などを理由に道が6月下旬、事業者に工事の停止を勧告し、仕切り直しを余儀なくされたのは既報の通り。この事件を紐解くため先月号では付近一帯の土地を所有する会社の中国籍社長を取材したところだが、このほど現地で工事を手掛ける建設会社のトップが取材に応じ、初めてメディアに口を開いた。今回の事業で法令や条例への対応が後手に回った理由は何なのか。そしてその理由と深い関係がある“元幹部の看過できない問題”とは──。

(本誌編集長・工藤年泰)

不毛な土地を活かす目的


 先月号で報告した倶知安町巽地区における開発現場。記者が訪れた8月下旬に現地を案内してくれたのが、ここで建物の施工を手がけている株式会社拓世建設(本社札幌市中央区・吉田一郎社長)の社員たちだった。
 札幌の都心部に本社を置くこの拓世建設は、全国大手ハウスメーカーの元社員らが中心となって昨年3月中旬に設立され、中国籍の社長が率いるJ社(本社札幌)が所有する巽地区に別荘を建てる施主(海外のオーナー)から注文を受けて建設工事を担ってきた。
 そんな同社が手がける工事が6月下旬に停止勧告を受けるまでいったい何があったのか。会社を立て直すため昨年11月に新たに代表取締役に就任したという吉田社長が9月下旬、メディアの取材に初めて応じた。
「世間を騒がせてしまったことについては、率直に陳謝したい。施主から求められていた納期のこともあって、工事を急いでしまった面は否めない。その過程で結果的に法令や条例への対応が疎かになってしまった。その点は批判されても仕方がなく、弊社の責任として重く受け止めている」(吉田社長)
 以下は同社長との一問一答。
 ──8月4日付で後志総合振興局に提出した是正計画書では、開発面積を約2.9ヘクタールとしている。
 吉田
 その通りだが、そもそも巽地区での今回の事業は「2.9ヘクタール」ありきではなく、J社の斡旋で成約したオーナーの別荘をまず2棟建てるだけの計画だった。それがうまくいったら次を考えるというのが当初のスキーム。それならば開発許可申請が不要な1ヘクタール未満でいけるだろうと。

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違法伐採を指摘されたエリアには植栽が施されていた(8月下旬)

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