映画『でっちあげ』の原作者が「旭川事件」の金子元校長と公開対談
いじめ事件で新たな冤罪を生むメディアと行政の誤謬

2025年11月号


旭川市立北星中学校元校長
金子 圭一 氏
(かねこ・けいいち)1959年上川郡愛別町生まれ。北海道教育大卒。道内の中学校勤務を経て旭川市教育委員会(指導主事)に出向。旭川市内の2中学校の教頭を経て同教育委員会(次長)に出向。2018年4月旭川市立北星中学校校長に就任。20年3月定年退職。旭川市近隣自治体の教育委員会で勤務中の 21年に「旭川少女いじめ凍死事件」の騒動を受け辞職。今年から北星中学校関係者の名誉回復と人権救済を訴える活動を展開。65歳
ジャーナリスト
福田 ますみ 氏
(ふくだ・ますみ)1956年神奈川県横浜市生まれ。立教大卒。業界誌や編集プロダクションを経てフリー。福岡で起きたモンスターペアレントによるでっちあげ疑惑を取り上げた『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』で 2007年、第6回「新潮ドキュメント賞」を受賞。16年「新潮45」で連載した「モンスターマザー 長野・丸子実業高校『いじめ自殺』でっちあげ事件」で「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」作品賞を受賞。69歳

6月下旬に全国公開され大きな反響を呼んだ映画『でっちあげ~殺人教師と呼ばれた男』(三池崇史監督・綾野剛主演)。この作品の原作者でジャーナリストの福田ますみ氏(69)と旭川市立北星中学校元校長の金子圭一氏(65)による公開対談会が8月24日(日)午後、旭川市内で開かれた(報道被害者支援・札幌旭川市民の会主催)。今回の映画の題材となった22年前の福岡で起きた事件は、これまで本誌などが検証を手掛けてきた「旭川少女いじめ凍死事件」と多くの共通項がある。「“でっちあげ” 旭川女子中学生凍死事件」と題された公開対談で語られた福田・金子両氏が経験した「でっちあげ」とは、そしていじめ事件の利権化を助長するメディアと行政の誤謬とは──。当日の対談の司会進行は本誌・工藤が務めた。

(本誌編集長・工藤年泰)

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 ──今回の映画『でっちあげ~殺人教師と呼ばれた男』の印象からお聞きします。
 金子
 公開直後に鑑賞させてもらいましたが、すぐに引き込まれてエンドロールまであっという間でした。主人公の先生に起きたことはとても他人事とは思えず、特に胸が詰まったのは「殺人教師」と言われた主人公が法廷で意見陳述をする最後の方のシーン。私の言いたい事を代弁してくれた気持ちになり、本当に心に深く刺さりました。
 ──綾野剛さんが演じた主人公が自身の弱さを露呈しながら人間としての矜持を取り戻して無実を晴らそうとするというところは、胸に迫るものがありました。もうひとつ印象的だったのはメディアスクラムという流れ。大手週刊誌の記事をきっかけにマスコミ報道が広がっていく様子は「旭川少女いじめ凍死事件」そのまま。原作者としての評価はいかがですか。
 福田
 実は私が原作で書いた最初のシーンが心配だったんです。映画では、いきなり生徒の母親の主張(裁判での陳述)を再現する形で主人公が酷い体罰をしている状況が描かれます。映画の感想などを見ると、あそこのシーンで外に出たかったという人たちが結構いたんです。ただその後、母親の主張を覆す急展開となり、そこは本当に見応えがあった。綾野剛さんが二重人格、ジキルとハイドのような感じで演じ分けていたのは本当に凄いなと。彼は「この映画を自分の代表作にしたい」と意気込み、熱演してくださいました。

対談で意見を交わす福田氏と金子氏
(8月24日午後、旭川勤労者福祉会館)

今年7月、廣瀬さんの献花台の前で手を合わせる北星中学校の関係者

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