道警不祥事から考える〈80〉
「極めて根深い盗撮癖が」

2025年10月号

複数の盗撮行為などで有罪判決を受けた元巡査は控訴しない意向を明かしており、本号店頭発売時には判決が確定している見込み
(釧路市の釧路地方裁判所)

常習盗撮の元警察官に有罪判決
同時期の道警処分では新事実も


在職中に盗撮行為を繰り返していた元警察官に、執行猶予つき有罪判決が言い渡された。裁かれた行為は9件に上るが、地元警察が開示した公文書には起訴に到らなかった別の容疑の記録も残る。当事者の元巡査は保釈中の再犯で罪を重ね、しかしながらその後再び釈放されて自由の身となった。その人と同じ時期に処分されたほかの警察官たちの不祥事と併せ、現時点であきらかになっている事案の概要を報告しておきたい。

取材・文=小笠原 淳

問われた「顕著な常習性」
スマホに多数の盗撮動画


 9月1日午後、釧路地方裁判所2階1号法廷。
「いずれも大胆で、手慣れた手口による悪質な犯行である」
 水越壮夫裁判官の判決理由朗読を、黒スーツに身を包んだ被告人が直立不動で受け止める。
「被告人は保釈中に盗撮行為に及んでいるのであって、その盗撮癖は相当に根深いものがある。自己の欲望の赴くままに行なった一連の犯行の動機、経緯に酌むべき点はない」
 言い渡された判決は、懲役1年6カ月・執行猶予4年。実刑こそ免がれたものの、1年半という量刑は検察の求刑通りの結果となった。2週間ほど前に同じ法廷で論告に立った検察官の指摘は、裁判所の判決理由同様、被告人の深刻な犯罪傾向を問題視するものだった。
「通常人であれば厳に行動を慎みつつ刑事裁判の判断を待つ立場にあっても盗撮行為を繰り返しており、極めて根深い盗撮癖が窺われる」
 実際、その人はかなりの頻度で違法行為を繰り返していたようだ。論告は、こう続く。
「訴因として特定されたもののみで9件もの事実があることに加え、被告人のスマートフォン内には多数の盗撮動画が記録されており、同種事犯の顕著な常習性が認められることはあきらかである」
 求刑の後、裁判官に発言を促された被告人は、証言台で次のような反省の弁を述べていた。
「毎日、謝罪の気持ちでいっぱいです。…今後とも大切な人たちを裏切らないよう、しっかりと生きていきます」
 小さく呟き項垂れるその人は、地元・釧路在住の無職男性(25)。最初に逮捕された時の職業は、警察官だった。

捜査された事件の中には、起訴に到らなかった余罪も
(北海道警察が一部開示した『犯罪事件受理簿』)

現職警察官による賭博行為の詳細が「別表」にまとめられることに
(道警が一部開示した『事件指揮簿兼犯罪事件処理簿』)

倶知安町・羊蹄山麓の違法開発を追う
中国籍社長の真意とは─

函館税関
千歳支署で「集団不正受給」疑い

道警不祥事
常習盗撮元警官に有罪判決

2026年4月に再整備される南空知医療圏
岩見沢市立総合病院と北海道中央労災病院の経営統合

保釈後の本年5月、元巡査は商業施設でプリクラ機を利用する少女たちのスカート内を撮影して再逮捕された(釧路管内釧路町)

保釈後の本年5月、元巡査は商業施設でプリクラ機を利用する少女たちのスカート内を撮影して再逮捕された(釧路管内釧路町)

捜査された事件の中には、起訴に到らなかった余罪も
(北海道警察が一部開示した『犯罪事件受理簿』)

現職警察官による賭博行為の詳細が「別表」にまとめられることに
(道警が一部開示した『事件指揮簿兼犯罪事件処理簿』)

倶知安町・羊蹄山麓の違法開発を追う
中国籍社長の真意とは─

函館税関
千歳支署で「集団不正受給」疑い

道警不祥事
常習盗撮元警官に有罪判決

2026年4月に再整備される南空知医療圏
岩見沢市立総合病院と北海道中央労災病院の経営統合

目次へ

© 2018 Re Studio All rights reserved.