北の門番に不祥事隠蔽疑い
函館税関で不正告発

2025年10月号

千歳支署で通報があった 2 つの不祥事疑いを〝本関〟は否定も肯定もしなかった
(函館税関が入る函館市の港湾合同庁舎)

千歳支署の当直で勤務懈怠か
書類紛失・偽造の目撃情報も


北海道と東北北部の通関業務を担う函館税関(田中透税関長)で、不適切な当直勤務や文書偽造を告発する公益通報があったことがわかった。遅くとも3年前から寄せられていた通報により、内部では今春までに告発事案の事実関係が確認されたが、税関はいずれの事実も公表していない。疑われるのは、組織的な不祥事隠蔽。前身の箱館運上所から数えて160年あまりの歴史を持つその官庁で、何が起きていたのか。

取材・文 小笠原 淳
1968年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)。56歳

現職義憤「集団不正受給」


 その告発が函館税関の「かんちゃん箱」と呼ばれる情報提供窓口に寄せられたのは、2022年10月のことだった。
《これはもはや超過勤務手当の集団不正受給と言わざるを得ません》
 本稿記者が入手した告発文によれば、通報者はそのころ千歳税関支署に勤務していた職員の1人。通報の趣旨は同支署の当直勤務に関する不正行為を告発し、組織としての適切な対応を求めるものだった。
 新千歳空港の国際線ターミナルビル内にある千歳税関支署では当時、当直を担当する40人ほどの職員が交代で現場勤務に着いていた。全体を4つのチームに分け、さらに1チームが2班に分かれて持ち回りで窓口業務などにあたる体制。各自の拘束時間は丸一日に及ぶものの、午後11時前後から翌朝4時前後までの深夜帯は閉庁時間となり、職員らは仮眠をとることが許される。それ以外の時間帯は勤務中の扱いとなるが、通報によれば先の4チームのうち3チームで職員の多くが日常的に閉庁時刻よりも2時間ほど早く就寝し、さらに開庁時刻よりも2時間ほど遅くまで仮眠を続けていたという。

昨年の初めに起きたとされる『携帯品申告書』偽造事案では関与職員が処分を免がれ、刑事罰にも問われなかったという
※ 画像の一部加工は本誌

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