倶知安町・羊蹄山麓の違法開発を追う
巽地区の知られざる過去
中国籍社長の真意とは─

2025年10月号

倶知安町巽地区の開発現場の様子。分譲済みの別荘は建設が止まったままだ(8月下旬)

テレビなどのマスコミが大きく取り上げた倶知安町巽地区の違法開発事案は、都市計画法の違反などを理由に道が6月下旬、事業者に工事の停止を勧告し、仕切り直しを余儀なくされた。そんな中、記者は報道機関として初めて開発エリアに入り、つぶさに現地を確認する機会を得た。さらに渦中の中国籍社長を直撃し取材を進めると、この地区は過去における原野商法の草刈場だったことも判明した。名峰、羊蹄山の麓でいったい何が起きているのか──。

(本誌編集長・工藤年泰)

工事が止まった現場


 普段は施錠されているゲートを抜け、両側が林になっている坂を上がっていくと、ほどなく視界が開ける。かねてからマスコミが取り上げている倶知安町巽地区における開発現場だ。ここに報道のカメラが入るのは初めてだという。
 まず目に入るのは、延床面積約300坪といわれる2階建ての大きな住居だ。一見して豪華な造りだが、躯体工事が終わった段階で外壁や内装については未完成。オーナー(施主)は海外の富裕層で用途は別荘だという。南側を見上げれば羊蹄山の美しい稜線が迫る。コンクリートが剥き出しになった基礎工事を終えたばかりの住居もある。建設資機材や重機などはあちこちに置かれたままで、現場は静まりかえっていた。
 目立つのは、かなりの範囲が植林されていること。先の建物周辺はもとよりエントランスになっている坂の両サイドにも樹木の苗木が植えてある。これは、行政から違法伐採の指摘を受けて事業者側が行なった原状回復措置の結果だ。


 開発行為に必要な各種の許認可を得ないまま工事を始めていたとされる羊蹄山麓での違法開発問題。先の参議院選挙で、ある候補者がこの問題について熱心に訴えていた影響もあって、6月以降メディアはテレビを中心にこの話題に殺到。どこも「正体不明の中国資本が乱開発か」というトーンで事件を伝えている。

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奥に羊蹄の山並みを望む開発現場のゲート

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