1期目を折り返した函館・大泉潤市長に訊く
函館に注がれる熱い視線を「次のまちづくり」に生かす

2025年09月号

内外から注目が集まる函館を「さらに高みに引き上げたい」と語る大泉市長

(おおいずみ・じゅん)1966年江別市出身。札幌北高を経て早稲田大学法学部卒業。95年函館市役所に奉職。総務部秘書課長、保健福祉部次長、観光部長、北海道観光振興機構理事、保健福祉部長を歴任。2022年7月末に退職し、23年4月23日投開票の函館市長選で初当選。59歳

小さな声を聞き大きな夢を語るのが使命

2023年4月の函館市長選で圧倒的な民意を受けて初当選した大泉潤市長(59)。まったなしの人口減少問題に全庁的な「人口減少対策本部」を立ち上げ子育てや教育支援に乗り出したが、足元では合計特殊出生率が初めて「1」を割り込むなど厳しい状況が続く。公約で注目された北海道新幹線のJR函館駅乗り入れは、札幌延伸の延期で不透明さが増した印象だが、「目標に変わりはない」と決意は揺るがない。その一方で就任後、さまざまな形で函館にスポットライトがあたり、地元の注目度と存在感がいや増しているのも事実。それぞれの課題に向き合いながら「まちの小さな声を聞くことは私の原点」と語る大泉市長にまちづくりの現状と展望を訊いた。

(7月23日取材 工藤年泰・佐久間康介・武智敦子)


|制度拡充だけではなく、まちの魅力をアップする人口減少対策|


 ──函館市の合計特殊出生率が初めて1を割り込みました。
 大泉
 本市の合計特殊出生率は近年、下降を続けており、2023年は0.99と1を割り込み全道平均の1.20を下回る水準となっています。函館市は中核市の中でも最速最悪のスピードで減っているうえ、23万人という人口集積があるのでなおさら危険な状況です。
 中でも少子化については、子どもを生み育てる世代の減少はもとより、賃金水準の低さや非正規労働による経済的な不安定さのほか、子育てや教育にかかる費用負担、仕事と子育ての両立などさまざまな要因があると考えています。就任後、全庁横断的な人口減少対策本部を立ち上げた狙いは、職員それぞれの視点によるボトムアップで人口減少を抑止できるような事業を打ち出すための土壌づくりにあります。
 ──その対策本部ができてから1年半近く経ちましたが、手応えは。
 大泉
 人口減少対策本部では重点方針の「しごとの創出」「子ども・教育への支援」のもと、奨学金返還支援事業や企業立地促進条例補助金の制度拡充、若者の雇用の場の確保、子育て支援に向けた各種の取り組みを進めています。
 地域全体の手応えではコロナからの脱却で観光客数が大きく回復し、函館に進出する企業も23年、24年と倍近くに増えるなど大きく潮目が変わったと感じています。
 子育てや教育に関する支援施策については、函館市独自のものや国や都道府県で改善してきた制度を踏まえると劇的に変わってきています。妊娠前から始まり、就学前、小学校、中学校までの各段階でも子育て支援制度は充実しています。教育面では公立はこだて未来大学の無償化を実施。私は週に1回程度、町内会で小規模な対話集会を開いており、子育て世代を始めとする多くの皆さんから「ずいぶん変わったね」という声をいただいています。

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