【シリーズ・住宅不動産情報】㉜──消えゆく札幌市街地のミニランドマーク
市内各地で解体・建て替えの動き
「地域の歳月」を刻んだ半世紀に幕

2025年09月号

イトーヨーカドー琴似店が入っていた「5588KOTONIビル」も役割を終えた

札幌市では1972年の冬季五輪を契機にまちづくりが進み、都心部から離れた市街地でもビルが相次いで建設された。それから半世紀を経て、更新時期を迎えた建物のスクラップ&ビルドが進んでいる。ここで取り上げるのは、市街地で目印になる場所に建っていたビルの解体現場。地域住民の街の記憶を形作ってきた、言わばミニランドマークとも言える建物だ。地域住民の見慣れた風景がスクラップ&ビルドによってアップデートされ、新たな記憶が積み重ねられていく。新陳代謝が進んでいる市内各地の現場から報告する。

(佐久間康介)

地域を照らしたユニークなビル


 札幌市西区琴似。琴似屯田兵によって開拓されていった付近一帯は明治期に入植が進み、札幌近郊でも有数の米作地帯になっていったという。地名の由来は、アイヌ語由来のコッネイ(窪地になっているところ)とされている。戦後の1956年になると琴似町は札幌市と合併、その後の人口増加に伴って農地は次第に住宅地へと変わり、街の役割も大きく変わっていった。76年に地下鉄東西線が琴似駅まで開通したことで人口流入に拍車がかかった。
 そんな時期に建設されたのが「メシアニカビル」(琴似2条7丁目)。琴似本通(琴似栄町通)と北5条・手稲通の交差点北西角に建っていたこのビルの竣工は75年8月。地下1階、地上6階建てのビルには「売れない文庫フェア」などで一時期、脚光を浴びた「くすみ書房」が入っていたこともあった。元々は地元のひさし書籍販売が土地建物を所有していたが、差押や競売が繰り返され、最終的に昨年11月、地場マンションデベロッパーのクリーンリバー(本社札幌)が、土地建物を取得した。
 その解体工事は今年4月末から始まり、今年12月末に終了する予定になっている。跡地にはクリーンリバーの分譲マンション「フィネス」シリーズが建設されることになりそう。ユニークなビル名とともに、琴似の半世紀を彩ってきた建物が間もなく消える。
 かつて琴似屯田兵村の中央道路として開削された琴似本通。その北の起点にあたるJR琴似駅そばに建っているのが「5588KOTONI」という名のビル。今年6月30日で閉館したこのビルは76年7月、イトーヨーカドー琴似店が入る「琴似駅前ビル」として竣工。地元商店街にとって象徴的な商業ビルだった。その閉館から1カ月、解体に向けた準備が着々と進んでいる。

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