脱ロシアで注目される「中央アジアシフト」
いま北海道から中央アジアへ
関係強化で生まれる大きな夢

2025年08月号

道内企業が製造する気象情報機器を現地で紹介するダウレン・アクメトフさん(カザフスタンで)


ウクライナ戦争でロシアとの関係が断絶されている中、注目されているのが日本、とりわけ北海道と中央アジア諸国(カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン)との関係だ。企業・自治体、開発コンサルタント、北大教授といった「プレーヤー」が中央アジアを訪ね、関係を深めながら実際に新規事業を始めつつある。この「中央アジアシフト」の背景には、互いのニーズが噛み合っていることがある。道内企業の進出、自治体による交流や人材受け入れ、学術研究の深化など近年の動きを追った。

取材・文 岡野 直(おかの・ただし)
1960年札幌市出身。東京外語大学ロシア語科卒業。85年朝日新聞社入社。2021 年からフリー。ロシア語の全国通訳案内士。近著に『戦時下のウクライナを歩く』(光文社新書)。65歳

カザフの鉱山をリモート管理


 札幌に居ながらリモートで外国鉱山の鉱害を防止する──。そんな事業が近く北海道大学を舞台に始まる。コンピュータで外国の坑内の様子をデジタル化して立体画像化。北大で採掘の過程を分析し、地下水の汚染や事故が起きないようにする。
 北大大学院の川村洋平教授(鉱山工学)らのグループが、中央アジアのカザフスタン(人口約2千万、以下カザフ)の大学、鉱山企業と研究協力について合意。この秋から5カ年計画で同国東部オスケメンにある金鉱山の坑内にセンサーを数多く設置する。コンピュータシミュレーションで地下水の流れなどをデータ化し「見える化」する。これにより水が出やすい岩盤を避けながら地下水を汚染しない採掘が可能になる。
 鉱山で地下水などが汚染されると数十年から百年、汚染水を浄化し続けなければならず、そんな浄化装置が日本各地でいまだに稼働している。川村教授は、鉱山開発と日本の強みであるICT(情報通信技術)を組み合わせる「スマートマイニング」を提唱、開発してきた人物だ。
 カザフでは、地下坑内に360度カメラを網の目状に設置。地下の水脈を予測するほか岩盤の弱い部分を見つけたり、ドリルが劣化していないかを診断したりする。また露天掘りの穴の上には無人機を飛ばし、斜面が崩れてけが人がでないよう自動計測し、無線などでデータを送る。膨大なデータは、同国のデータセンター経由で川村教授のチームが北大で受け取る。このデータをAIを使って鉱山の状況をデジタル空間で再現。北大から鉱害を起こさない掘削のやり方についてカザフ側に伝え、実践してもらう仕組みだ。

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