不協和音に軋む伝統国大
道教大 見えざる亀裂

2025年08月号

道教育大は戦後まもない 1949 年設立、当地の師範学校を前身とする函館キャンパスはとくに長い歴史を持つ(函館市の北海道教育大学函館校)

函館校で2年越しパワハラ告発
10年前のセクハラは公表されず


重大な人権侵害を疑われた問題が、不透明な審議で不問に付された――。そう訴える声の主は、北海道内で80年ほどの歴史を持つ国立大学の職員。昨春まで常勤の教授だったその人は、同僚教員の1人からいわれのない脅迫を受けることになったという。時期を同じくし、周辺では10年前に起きていた別のハラスメント事案をめぐる疑問の声が改めて沸き起こり始めた。教員養成校として伝統浅からぬその学府で今、何が起きているのか。

取材・文=小笠原 淳

一斉メールで「脅迫」疑い


 昨年2月に届いたそのメールを、受信者は「脅迫」と受け止めた(※ 伏字は本誌、以下同)。
《先生の送別会でも、最終講義でも、教員会議の最後のあいさつの後にでも、我々でご質問させていただくと思います。それから■■先生とずっと議論したがっている人物がいますが、私は会議が荒れないようにずっとストップをかけていましたが、それも必要ないでしょう》
 メールの送り手と受け手は、ともに大学教員。右に引いた一文は、両者が所属する北海道教育大学函館校の外国語教育に関するやり取りの一部だ。大学の執行部といえる「評議員」の1人である男性教授が、当時退職間際だった女性教授(現・非常勤教員)へ宛てて送信したもので、ほか20人ほどの教員にも同時送信されたという。
 前後の送受信記録を確認する限り、送信者と受信者の間には当初から浅からぬ確執があった事情が読み取れる。のちに脅迫被害を訴える女性教授の過去の言動に「パワハラ」を感じたとする男性教授の指摘もあり、先の引用文とは別の送信文にそうした不信感に由来すると思しい文言が含まれていた。いずれの主張に是があるかの評価は措き、ここではほどなくこの件が函館校の「人権相談員会議」に持ち込まれたという事実を確認しておく。
 それから1年あまり――。当事者間の距離はなお縮まることがなく、見えない溝は拡がり続けているようだ。

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