Agri Report ──北の大地を拓く新・農業人【4】
荒れた土地を整え次の世代に農業というバトンを渡したい

2025年07月号

手作りの平飼い鶏舎の中で鶏たちに囲まれる角野亮太さん・飛鳥さん夫妻。1,500羽ほどを飼養し、有精卵の販売や加工品作りに取り組み、常連の顧客も増えている

新天地で平飼い養鶏を営む石狩市の「飛ぶ鳥農場」


新規就農を目指す人たちが参入しやすい分野に、当初の投入資金が比較的少なくて済む平飼い方式の養鶏がある。養鶏場にほど近い都市部に新たな顧客をつくることができると、安定した収入が得られるからだ。石狩市厚田区にある「飛ぶ鳥農場」では今、簡易なハウス2棟で1,500羽ほどの鶏を飼い、卵の販売や加工品づくりを軌道に乗せつつある。しかし、ここに至るにまでは7年間にわたる研修生活や、農場用地の取得をめぐる就農計画の変更…といった苦労も重ねてきた。そうした数々の試練も乗り越え、今では多様な顧客を獲得した経営主の角野亮太さん・飛鳥さん夫妻のこれまでの生き方や、今後の展望などを紹介する。

(ルポライター・滝川 康治)

「将来の夢は鶏を飼う仕事」と考え7年間におよぶ研修生活を重ねる


 日本海を望む石狩市厚田区の市街地から車で5分余り、昨年1月に山あいの地で新装オープンした「飛ぶ鳥農場」の直売所の幟(のぼり)が見えた。敷地に入ると、農場の一員という6羽のガチョウと豚1頭、それぞれ2頭の羊と山羊がお出迎え。ミニ動物園のようだ。
 130坪ほどの平飼い鶏舎2棟で、約1500羽の採卵鶏を飼養する。飼料は道産100%。雌10羽に対し雄1羽を一緒に飼い、有精卵が産まれる。その卵とプリン、シフォンケーキなどの加工品の販売で生計を立てている。
 経営主の角野(すみの)亮太さん(1988年、徳島県生まれ)・飛鳥(あすか)さん(89年、旭川市生まれ)夫妻が結婚した2014年、ここから車で15分ほど行った厚田区の望来(もうらい)地区で新規就農の準備を始めた。17年には独立して「飛ぶ鳥農場」をオープン。元気いっぱい空を飛ぶ鶏のイメージに、飛鳥さんの名前を重ね合わせたのが命名の由来である。
 のちに望来での農場継続を断念することになる角野さん夫妻は、そこから1年がかりで厚田区内での土地探しに奔走。周囲に家がなく、美味しい地下水にも恵まれた現在の土地を見つけた。
「ここはほどよい田舎で札幌にも近い。わたしたちの夢を叶えるのに10年かかりましたが、あきらめずにやってきたから出来たんです」
 と飛鳥さん。直売所や加工場を兼ねた新居も建てた。6人の子だくさんに恵まれ、角野さん夫妻はここでの暮らしに満足している。

令和の米騒動の真相と深層

道警不祥事
警官窃盗「訓戒」非公表

江差パワハラ自殺問題
関与教員加害否定

カレス記念病院・浅香正博院長に訊く
北光記念病院と時計台記念病院を「発展統合」

遊休農地を購入し、2年前に直売所や加工場をかねた住宅を新築。山あいの農場を訪れる人が増えてきた

鶏のほかに少頭数の豚やガチョウ、羊、山羊も飼育。動物たちはとても人懐っこい

2023年夏、鶏舎になるハウスを設営(角野さん提供)

「飛ぶ鳥農場」の有精卵(直売所価格は6個入り400円、10個入り600円で提供

住宅に併設した直売所では卵やプリン、シフォンケーキを販売

遊休農地を購入し、2年前に直売所や加工場をかねた住宅を新築。山あいの農場を訪れる人が増えてきた

鶏のほかに少頭数の豚やガチョウ、羊、山羊も飼育。動物たちはとても人懐っこい

2023年夏、鶏舎になるハウスを設営(角野さん提供)

「飛ぶ鳥農場」の有精卵(直売所価格は6個入り400円、10個入り600円で提供

住宅に併設した直売所では卵やプリン、シフォンケーキを販売

令和の米騒動の真相と深層

道警不祥事
警官窃盗「訓戒」非公表

江差パワハラ自殺問題
関与教員加害否定

カレス記念病院・浅香正博院長に訊く
北光記念病院と時計台記念病院を「発展統合」

目次へ

© 2018 Re Studio All rights reserved.