道警不祥事から考える〈78〉
警官窃盗「訓戒」非公表

2025年07月号

昨年暮れに起きていた警察官による現金窃盗事件は報道発表の対象とならず、当事者への制裁も懲戒処分に到らない軽い措置となっていた(北海道警察が一部開示した『犯罪事件受理簿』)=一部墨塗り処理は道警

不祥事記録に「窃盗」明記なく
発表事案では保釈後に再犯も


本誌前号で報告した地元警察の直近の不祥事記録について、報道発表されなかった事案の中に深刻な法令違反として捜査されていたケースがあることがわかった。その事実は、公文書開示請求で入手した記録をもとにした“第2弾”の開示請求を経ない限り確認できなかったと言ってよい。処分関係の文書に「勤務規律違反等」の言い回しで記されていた不祥事は、警察官による現金窃盗事件だった――。

取材・文 小笠原 淳
1968年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)。56歳

報道発表は31件中3件


 北海道警察で本年最初の四半期(1-3月)に処分・措置があった不祥事は、計31件。各件の概要は本稿記者が道の条例に基づいて入手した公文書に記録されており、前号小欄でその一部を伝えたところだ。本稿では、それらの記録をもとにしたさらなる開示請求の成果を報告したい。2段階の請求の目的は、各不祥事の報道発表の有無、及び事件捜査の有無を確認することだった。
 記者が右の開示対象となり得る公文書の探索を道警に打診したのは、前々号発売直後の4月22日。これを受けた道警の担当課は5月13日までに文書を特定し、記者に通知した。記者は翌日付でそれらの開示を求める手続きをし、同28日付の一部開示決定を経て、6月2日に計56枚の文書を入手した。
 開示文書によると、先述・第1四半期の不祥事31件のうち公表の対象となったものは3件あり、いずれも報道大手がほぼ即日報じていた。それぞれの概要は、下の通り。
・交通事故事案…警察署警部補、1月29日付「減給」
・拳銃不適切管理等事案…警察署巡査部長、2月13日付「減給」
・傷害事案…警察署巡査、3月7日付「訓戒」
 繰り返すが、同期間の処分・措置31件の中で報道発表されたのは以上3件のみ。これをふまえた上で、もう1つの事実関係を確認したい。
 即ち、31件の中に事件捜査の対象となった事案があるか、否か。

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