【シリーズ・住宅不動産情報】㉚──不動産鑑定士の堀川裕巳氏に訊く
いま北海道があぶない

2025年07月号

多くの自治体から不動産鑑定を依頼されている堀川裕巳氏

廃墟になるまち、活況のまち
進む住宅不動産価値の二極化


人口減少が全国よりも早いペースで進む北海道。地域の過疎化にも拍車がかかっているが、そうした中で地方はもとより都市部でも廃墟のような建物や家屋が目に付くようになった。これらは倒壊の危険性だけでなく景観も損ない、閉塞感を一層高める要因にもなっている。その一方で海外投資が盛んなニセコエリアやラピダスで沸く千歳市は、全国トップクラスの土地価格上昇率を弾き出している。二極化が進む北海道の住宅不動産を取り巻く現況とは、そして廃墟化の一因になっている自治体の固定資産評価の問題とは何か。不動産鑑定士で関連著書を多く上梓している、北央鑑定サービス(札幌)の堀川裕巳代表(78)の答えは「いま、北海道があぶない」だった──。

(5月19日取材 佐久間康介・工藤年泰)

自治体格差が過疎に拍車


 ──北海道全体を俯瞰してみると、土地建物などの不動産価値に著しい地域格差があります。ニセコや千歳、北広島のように土地価格がかなり上がっているところもありますが、ほとんど値段がつかない場所を抱える地方も相当数ある。不動産鑑定士として、この状況をどのように見ていますか。
 堀川
 不動産のことを語る上で切っても切れないのが人口問題です。国立社会保障・人口問題研究所の予想によると、今から25年後の2050年の北海道の人口は約382万人。179市町村全てで減少し、そのうち67市町村は半減するとしています。
 ──極端な話、3軒に1軒近くは空き家になってしまうと。
 堀川
 地方都市にあった昔ながらの商店街は、今では人気店を除き相当数がシャッターを下ろしてしまっています。例えば物販店の場合は、同じ商品を買うのであれば、多くの人が便利でコスパがいい郊外店舗へ行ってしまう。車も停められないから足が向かわない、後継者もおらず廃業を選択するようになる。そうやって商店街のゴーストタウン化が進んでいます。

(ほりかわ・ひろみ)1947年浦河町出身。74年3月明治大学法学部卒。77年7月社団法人道農都市開発協会入社、79年不動産鑑定士登録。91年北央鑑定サービスを設立し代表取締役就任。2024年4月恵庭市空家等対策協議会会長(再任)。米国鑑定士協会(ASA)認定資産評価士(機械・設備)上級資産評価士(不動産)。著書に「新・鑑定雑感 不動産の不都合な真実」(2020年・プログレス刊)、「固定資産評価解体新書」(2020年・ブイツーソリューション)など。78歳

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固定資産評価額を1億9千万円とされた滝川市内の旧民間病院。内部の損傷が著しい

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(ほりかわ・ひろみ)1947年浦河町出身。74年3月明治大学法学部卒。77年7月社団法人道農都市開発協会入社、79年不動産鑑定士登録。91年北央鑑定サービスを設立し代表取締役就任。2024年4月恵庭市空家等対策協議会会長(再任)。米国鑑定士協会(ASA)認定資産評価士(機械・設備)上級資産評価士(不動産)。著書に「新・鑑定雑感 不動産の不都合な真実」(2020年・プログレス刊)、「固定資産評価解体新書」(2020年・ブイツーソリューション)など。78歳

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