「ラピダスの本格操業で暮らしはどうなるの?」めぐって公開学習会
道民の懸念 浮き彫りに

2025年06月号

PFASによる水質汚染や事故発生時の対応など課題をかかえる先端半導体の製造工場「ラピダス」。今年4月に稼働し、27年の量産化をめざすが……(昨年10月、工事中の写真から)

いま、シリコンバレーでの汚染の歴史を教訓にすべき

「マスメディアがラピダス立地の問題点を取り上げないのならば、自分たちで学ぼう」と、NPO法人さっぽろ自由学校「遊」では日本の半導体産業の問題点を学ぶ市民講座を開く一方、講座運営チームのメンバーらが千歳川の採水調査や議会の傍聴、ラピダス周辺の視察などの活動を続けてきた。工場排水を外部に出さない「クローズドシステム」という処理方法があるのにしない、使用される化学物質などに被曝したりPFAS(有機フッ素化合物の総称)による環境汚染の恐れがある、太平洋に注ぐ安平川の水を使い、排水は石狩川水系の千歳川に流す、多額の税金が投じられる…。さまざまな疑問や懸念があるが、マスコミや国、関係自治体は半導体産業の負の側面を伝えようとしない──。 そうした現状に一石を投じようと4月20日、ラピダスの本格操業による環境汚染やエネルギー問題の行方などをテーマにした同法人主催の公開学習会が札幌市内で開かれた。約150人(うちオンラインは50人ほど)が参加し、道民の懸念や関心の深さを浮き彫りにする企画になった。

(ルポライター・滝川 康治)


将来につながるため何が必要か
現地報告やパネル討論で考える


「このまま(ラピダスの) 負の側面が知らされず、大学の半導体関連の学部創設などが進んでいいのでしょうか。また、ラピダスの立地にともなう泊原発の再稼働などがなし崩し的に行なわれるのでは、と危惧している。わたしたちは、おなかが空いても半導体を食べたり、体内で電気を充電したり、有害物質入りの水を飲んで生きることはできません。北海道は一次産業が盛んな自然に恵まれた地域であり、それは生きるために必要なもの。経済第一ではなく、将来につながるために何が大切か考える時ではないでしょうか」

(あまがさ・けいすけ)1947年東京都生まれ。早稲田大学理工学部卒業。月刊誌『技術と人間』の編集者を経て93年に独立。96年「遺伝子組み換え食品いらない! キャンペーン」設立に参加し現在は共同代表。市民バイオテクノロジー情報室代表、日本消費者連盟顧問。書著『新しい遺伝子組み換え ゲノム編集食品の真実』(日本消費者連盟)、『生物多様性と食・農』『農と食の戦後史』( 緑風出版)、『遺伝子組み換えとクローン技術100の疑問』( 東洋経済新報社)、『この国のミライ図を描こう』( 現代書館) ほか多数

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千歳と石狩の市議、道議による現状報告やパネルディスカッションも

初の公開学習会には約150人が参加。道民の関心の高さが伝わってきた

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(あまがさ・けいすけ)1947年東京都生まれ。早稲田大学理工学部卒業。月刊誌『技術と人間』の編集者を経て93年に独立。96年「遺伝子組み換え食品いらない! キャンペーン」設立に参加し現在は共同代表。市民バイオテクノロジー情報室代表、日本消費者連盟顧問。書著『新しい遺伝子組み換え ゲノム編集食品の真実』(日本消費者連盟)、『生物多様性と食・農』『農と食の戦後史』( 緑風出版)、『遺伝子組み換えとクローン技術100の疑問』( 東洋経済新報社)、『この国のミライ図を描こう』( 現代書館) ほか多数

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