Agri Report ──北の大地を拓く新・農業人【2】
横浜っ子が築いた持続可能な農業
着実な経営管理で得た大きな成果

2025年04月号

中川町内で新規就農の夢を実現した丸藤英介・沙織さん夫妻。帯広農業高校に在学中の長男・睦さんが将来、地元に戻って牧場を引き継ぐ予定という

放牧酪農のモデル事例を創った中川町の丸藤牧場


新規就農者の受け入れに積極的な上川管内中川町で、横浜市内のサラリーマン家庭で育った夫婦が16年ほど前から放牧酪農に取り組み、自給飼料の給与や放牧に適した牛づくりなどを通して「持続可能な農業」を実現している。北海道酪農の厳しさばかり強調される時代にあって、多額の負債も償還できる目途も立った。10年先を見すえた事業計画書の作成など着実な経営管理が成果を上げた大きな要因のようだ。毎日の仕事のかたわら、放牧志向の酪農家らによる交流会の開催や情報交換、就農希望者からの相談…と、活動のすそ野は広い。地域農業を牽引する存在になった同町の丸藤牧場の歩みと放牧酪農の取り組み、今後の展望などについて話を訊いた。

(ルポライター・滝川 康治)

理系を志向し、経営にも関心
来道し放牧酪農で就農めざす


 中川町内を流れる天塩川の西側に広がる丸藤(がんどう)牧場は、2008年秋に産声を上げた。それから16年余りの歳月が流れ、今では72ヘクタールの草地で68頭の乳牛(うち搾乳牛は48頭)を飼い、年間280トンほどの生乳を出荷する放牧酪農家として堅実な経営を続ける。
 経営主は丸藤英介さん(ひでゆき)(76年、横浜市生まれ)、沙織さん(84年、同市生まれ)夫妻。
「夫婦で話し合い、酪農や家事、育児の役割分担をしてきました。働きすぎず、家族の時間を大切にしていきたい」(英介さん)
「田舎暮らしは苦にならないほうで、近所には同世代の女性もいます。自然いっぱいのところで子育てできるのは楽しいですね」(沙織さん)
 牧草主体の放牧酪農が評価され、一昨年には農林水産祭の内閣総理大臣賞(畜産部門)を受賞するなど、多くの農業関係者が注目するモデル的な営農を続けてきた。道北地方に新規就農した人たちが心の拠り所にする牧場でもある。


 サラリーマン家庭に育った丸藤英介さんは高校時代、自分が理系向きの人間だと自覚する一方、経営の分野にも関心があった。法政大工学部の経営工学科に進み、23歳の時に卒業。就職活動もやってみたが、とくに就きたい仕事はなかった。
 そんな中、万年助教授だった恩師が、「一度きりの人生だから、好きなことをやれよ」と励ましてくれた。自宅と会社を行き来する生活よりも、自然の中に身を置き、体を動かす仕事が合っているのでは…と思うようになった。競走馬関連の就職試験も受けたが、そこは厳しい世界であり、みずからの甘さを痛感したという。

丸藤牧場の生乳を原材料にした牛乳とチーズ。「道の駅なかがわ」ではソフトクリームを販売している

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夏の放牧風景。牛たちは木陰でくつろぐ
(丸藤さん提供)

天塩川の西側に広がる丸藤牧場の看板

フリーストール牛舎の中で餌寄せ作業をする丸藤英介さん

事務局を担当した「もっと北の国から楽農交流会」のひとコマ(22年9月撮影)

夏の放牧風景。牛たちは木陰でくつろぐ
(丸藤さん提供)

天塩川の西側に広がる丸藤牧場の看板

フリーストール牛舎の中で餌寄せ作業をする丸藤英介さん

事務局を担当した「もっと北の国から楽農交流会」のひとコマ(22年9月撮影)

丸藤牧場の生乳を原材料にした牛乳とチーズ。「道の駅なかがわ」ではソフトクリームを販売している

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