広がるギャンブル依存症──「水原一平事件」は特別ではない
「依存症は病気です」

2025年04月号

札幌で講演する田中代表(2018年8月)

若者が違法賭博に手を染める現状に支援団体トップが警鐘

アメリカ・メジャーリーグ、ドジャースの大谷翔平選手の預金口座から約1700万ドル(約26億円)をだまし取った銀行詐欺などの罪で禁錮4年9月の判決が言い渡された元通訳の水原一平被告。事件が発覚した直後からネット上で人格まで否定するような批判の嵐が吹き荒れる中、「個人の問題として矮小化すべきではない」と声高に発信を続ける女性がいる。プロ野球選手がオンラインカジノに手を出すなど、違法賭博にスポーツ選手や若者が巻き込まれる現状に強い危機意識を持ち、道民に対しても警鐘を鳴らしている。

(ジャーナリスト 黒田 伸)


三代目ギャンブラーの妻


 この問題で警鐘を鳴らしている女性は、公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会(東京)代表の田中紀子さん(60)。田中さんの講演を初めて聞いたのは同会が立ち上がった直後の2014年2月だった。場所は千葉市幕張のホテルの会議室。国内でカジノが解禁される「特区」に手を挙げるため同市内の経営者が開いた勉強会で、田中さんがギャンブル依存症対策を語った。
「祖父、父、夫がギャンブル依存症なので三代目ギャンブラーの妻」という経歴を隠すことなく、凄まじい元ギャンブラー生活を明かした田中さん。「すべてはギャンブルのためにあった生活。新婚旅行もラスベガス。帰りの飛行機の時間ギリギリまで賭けていた」というエピソードをはじめ、雪だるま式に増えていった借金の返済に家族が崩壊していく様子を克明に語った。夫とともに同じ悩みを抱える自助グループに参加したことから依存症を脱し、「ギャンブルにはまって苦しむ当事者や家族を支援したい」と同会を立ち上げ、全国での講演のほかテレビやSNSで啓発活動を続けている。
 その後、筆者は2018年8月、田中さんに札幌での講演会を依頼するなど道内のギャンブル依存症問題を継続して取材。そんな最中に起きたのが「水原一平事件」だった。

ジャイアンツの応援ユニフォームを着て上原氏に反論した田中さん(本人のフェイスブックから)

札幌の人気フットサルスタジアムに異変
乗っ取りか内紛か

警官わいせつ
「訓戒」留まりで事実上の隠蔽か

生活を脅かすインバウンドの観光弊害

中村記念病院が展開する「脊椎脊髄・末梢神経・脊損センター」
腰痛・しびれ外来で幅広い疾患に治療を提供

エンゼルス時代、大谷選手と共に会見に出席する水原一平・元通訳(2018年10月、筆者撮影)

プロ野球選手のオンラインカジノ問題を報じる新聞

エンゼルス時代、大谷選手と共に会見に出席する水原一平・元通訳(2018年10月、筆者撮影)

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