小樽で深刻化するオーバーツーリズム
地元住民の生活を脅かすインバウンドの観光弊害

2025年04月号

小樽市内の船見坂を訪れる観光客(2月下旬撮影)

映える名所で迷惑行為、駅では人身事故も

全国各地でオーバーツーリズムが問題になっているが、道内有数の観光地、小樽市内でも事態が深刻化。映画のロケ地となった場所などにインバウンドが押し寄せ、1月23日にはJR朝里駅近くで写真撮影のため線路内に立ち入った中国籍の女性が列車に轢かれる死亡事故が起き、JR小樽駅に近い船見坂、札幌寄りの銭函などでは路上で撮影したり私有地に無断で立ち入るなどの迷惑行為が問題になっている。こうした事態を重く見た小樽市は2月10日、道や警察、交通事業者などと「小樽市オーバーツーリズム対策連絡協議会」を立ち上げ対策に乗り出した。

(武智敦子)

住民からあがる悲鳴


 観光客が集中することで地域住人の生活に影響が出るオーバーツーリズム。中国で旧正月の春節にあわせた大型連休が始まった1月下旬頃から小樽市内にも多くの外国人観光客が訪れ、交通ルールを無視するなどのトラブルが起きている。
 小樽市内で特に外国人観光客に人気なのが、死亡事故のあったJR朝里駅周辺や銭函、市中心部の船見坂などだ。いずれも、岩井俊二監督の映画「Love Letter」(1995年)のロケ地となった場所で、2016年に韓国で、21年には中国でこの作品が再上映されたことなどから人気が再燃した。
 小樽市街と札幌市街の真ん中にある銭函。青い海と白い雪が織りなす海岸風景が「映える」と中国のSNSで話題になっているといい、撮影するため私有地に立ち入る観光客は少なくない。車道の真ん中を平気で歩く姿も多く見られ、時折苛立ったようなクラクションが響く。
 銭函在住の60代の男性はうんざりした様子で、「春節の間はコンビニも外国人観光客で溢れ返っており、お昼近くになると弁当類はほとんどなくなっていた。何が面白くて銭函に来るのか分からないが、とにかく彼らは交通マナーを守らない。事故を起こしたらと考えると車の運転が怖くなり、しばらく乗るのを控えていた。せめてマナーだけは守ってほしい」と話す。

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