道警不祥事から考える〈76〉
警官わいせつ 懲戒未満

2025年04月号

昨年の不祥事の中に、2段階の公文書開示請求を経なければ確認できなかった事実が複数あった
(札幌市中央区の北海道警察本部)

不祥事処分で「指針」に則せず性犯罪を「信用失墜事案」扱い


北海道警察が報道発表を控えた職員の不祥事の中に、深刻な法令違反で事件捜査の対象となった事案が複数あったことがわかった。警察庁が定める指針に反して懲戒処分を免れていたケースもあり、組織ぐるみの隠蔽が疑われてもやむを得ない状況。定期的な公文書開示請求で判明した事実を、開示された捜査の記録をもとに再現してみたい。懲戒に到らない軽い制裁で済まされた「信用失墜事案」の実態とは――。

取材・文 小笠原 淳
1968年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)。56歳

公文書の裏に隠れた事案
2段階の請求で明るみに


 地元新聞が情報公開制度を活用して警察の未発表不祥事を掘り起こし始めた動きは、前号小欄で報告したばかり。職員の懲戒処分などの全件公表を免れる“警察特権”が失われる兆しがない中、隠された事実に光を当てる報道大手の取り組みは、率直に評価できる。同号で確認したように、昨年最後の四半期(10-12月)だけでも警察署巡査の盗撮事件(10月8日付「減給」)、警察署警部補の盗撮事件(11月6日付「減給」)、警察署巡査らの交通違反(12月26日付「訓戒」など)といった深刻な事案が、新聞報道で次々とあきらかになった。いずれも条例に基づく公文書開示請求で懲戒処分や監督上の措置(懲戒に到らない軽微な制裁)の記録を入手し、取材の端緒としたものとみられる。
 だが、そのような開示請求だけではみつけられない情報がまだ多く道民の眼から隠されているとしたらどうか。本稿記者が本号締め切り直前の3月上旬に目の当たりにしたのは、地元・北海道警察の巧妙な不祥事隠しともいえる実態だった。
 それは“2段階の開示請求”を経ない限り確認できなかった。

方面本部長訓戒に留まった「信用失墜事案」が、わいせつ事件として捜査の対象に(道警が一部開示した『事件指揮簿兼犯罪事件処理簿』)=墨塗り処理は道警

逮捕の警部はクレーンゲームの景品1個を盗み、氏名や住所を報道発表された(札幌市内)

札幌の人気フットサルスタジアムに異変
乗っ取りか内紛か

警官わいせつ
「訓戒」留まりで事実上の隠蔽か

生活を脅かすインバウンドの観光弊害

中村記念病院が展開する「脊椎脊髄・末梢神経・脊損センター」
腰痛・しびれ外来で幅広い疾患に治療を提供

「不同意わいせつ」は「免職又は停職」となる筈だが…(警察庁『懲戒処分の指針』)

方面本部長訓戒に留まった「信用失墜事案」が、わいせつ事件として捜査の対象に(道警が一部開示した『事件指揮簿兼犯罪事件処理簿』)=墨塗り処理は道警

「不同意わいせつ」は「免職又は停職」となる筈だが…(警察庁『懲戒処分の指針』)

逮捕の警部はクレーンゲームの景品1個を盗み、氏名や住所を報道発表された(札幌市内)

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乗っ取りか内紛か

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「訓戒」留まりで事実上の隠蔽か

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