
「フットサルスタジアム蹴」の外観
(札幌市東区)
運営会社セブンスギアのトップ交代と取締役解任はなぜ起きた
昨年9月、札幌市東区の「フットサルスタジアム蹴(しゅう)」を運営する株式会社セブンスギアの業務全般を取り仕切っていた常務取締役が突如解任され、同時に代表取締役が交代する“異変”があった。会社乗っ取りが疑われる中で、前常務が刑事告訴をはじめ地位の回復を求めて民事提訴に踏み切ったが、半年が過ぎても決着がつかず、いまなお係争が続いている。市内で屈指の人気を誇るフットサル場でいった何が起きているのか──。
(本誌編集長・工藤年泰)
スポーツ関連イベントやトレーニングなどで市民に親しまれている多目的施設「つどーむ」(札幌市東区)。その脇を走る篠路通の向かい側にあるのが、「フットサルスタジアム蹴」だ。このフットサル場は今から18年前の2007年8月にオープン。室内に備えたコート2面を一般に広く貸し出しているほか、初級から上級までさまざまな大会も開催。近年にはコロナ禍で利用が落ち込んだ年月もあったが、2023年以降は回復傾向と言われ、年間で約10万人が利用しているとされる。
そんな「フットサルスタジアム蹴」を運営するため、2007年2月に設立されたのが「株式会社セブンスギア」だ。起業を模索していた本田一輝(かずあき)氏(44)が代表取締役となり、同氏の父親、一輝氏の幼馴染だった上松功拓氏(44)3人が出資してスタート。防護ネット事業などを手掛けていた本田氏の父親の信用で金融機関から約6千万円を調達し、東区にあった元印刷工場を借り上げ、約4千万円をかけて改修してのオープンだった。
セブンスギアでは、このフットサル場以外にも所有するビルで不動産賃貸業を手がけ、フィットネスジムなどを備えた「Blaise」(ブレイズ)も展開。2012年からはスポーツとカルチャーを無料で体験できるイベント「スポカルSP」も開催するなど多角的に事業を手掛けてきた。スポカルSPでは、フットサル以外のサッカーやバレーボール、バドミントンといったスポーツ体験、将棋や書道、釣りや折り紙などカルチャー体験を同時に設定。2月7日から9日まで札幌ドームで開催された「JAL サッポロ スノー スポーツ パーク」(さっぽろ雪まつり特別連携行事)でも本田氏は同様のイベントを主催したところだ。
だが奇妙なことに、このイベントパンフには「主催:合同会社スポカル」と書かれており、イベント名称もこれまでの「スポカルSP」ではなく「スポカル チャレンジ 2025」になっていた。
本田氏が主導していた自社の事業が別の会社に移管された理由とはいったい何なのか──。