半導体産業の世界的再編と「ラピダス」との関係を探る
抜け出せない成功体験

2025年03月号

国産先端半導体の製造工場「ラピダス」の建設現場(昨年 10月撮影)。マスメディアは工事の進捗状況や経済効果などを報じるが半導体をめぐる国内外の状況や製造に伴う影響について検証が不十分ではないか

識者が警鐘
「米国による間違った経済軍事戦略に組み込まれるな」


「日本の半導体産業は過去の成功体験から抜け出せず、周回遅れになっている。半導体の受託製造に特化した台湾企業のTSMCが独走状態の中で、政府は『今からスタートする』と言うが、無理筋な話ではないか」「グローバル化した供給体制は再編成を余儀なくされているが、このままでは中国を封じ込め、半導体を囲い込むための米国の間違った戦略に巻き込まれるだろう」──先端半導体企業「ラピダス」の建設に前のめりになる経済産業省や北海道に対し、札幌学院大学教授で経済学者の浅川雅己さんが警鐘を鳴らす。
 一昨年に突然表面化した「ラピダス」の立地話に対し、半導体技術や国内外の経済事情に疎い多くの道民はこれまで傍観するしかなかった。道や建設地の千歳市などは立地に伴う“負の影響”を深く検証せず、大手マスコミも問題点を伝える姿勢に乏しいが、NPO法人さっぽろ自由学校「遊」の市民講座では、半導体事業の問題点を学ぶ作業が続く。今回は、世界的な半導体産業の再編と「ラピダス」との関係について、浅川さんの話を紹介する。

(ルポライター・滝川 康治)


ロジック半導体めざすラピダス

微細な集積回路を追求するが…


 半導体は、電気を通す性質(導電性)が金属と絶縁体の中間にある性質を持った物質であり、その代表例がシリコン(ケイ素)と呼ばれるものです。温度や電圧をかけることで導電性が変化する特性を利用し、電子部品や回路の基盤として広く使われています。
 コンピュータやスマホなどの情報処理の制御を担う中枢部分がロジック半導体で、これが進化することでAIや自動運転装置などの最先端技術が実現している。ラピダスでは、この半導体を製造する計画です。
 次に、データを保存する役割を担うメモリー半導体はコンピュータなどに欠かせない集積回路です。3つ目は、電力の変換や制御を担うパワー半導体で、最近では電気自動車向けの需要が増えてきています。さらに、各種センサー類などに使われるアナログ半導体もあります。

(あさかわ・まさみ)1965年埼玉県生まれ。法政大学卒業。東京経済大学大学院経済学研究科修士課程(経済学)修了。2003年から札幌学院大学で教鞭をとり、現在は経済経営学部教授。著書に『次世代へつなぐ地域の鉄道』(緑風出版・共著)、『国際日本研究への誘い──日本をたどりなおす29の方法』( 東京外国語大学出版会・同)ほか

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半導体の仕組み(浅川さん配布資料から)

建設が進むラピダスの半導体開発製造拠点「IIM」(イーム)と調整池

世界にまたがる半導体のサプライチェーン(浅川さん配布資料)

浅川さんの半導体講座には会場とオンライン合わせて30人余りが受講した(1月21日、札幌市内)

(あさかわ・まさみ)1965年埼玉県生まれ。法政大学卒業。東京経済大学大学院経済学研究科修士課程(経済学)修了。2003年から札幌学院大学で教鞭をとり、現在は経済経営学部教授。著書に『次世代へつなぐ地域の鉄道』(緑風出版・共著)、『国際日本研究への誘い──日本をたどりなおす29の方法』( 東京外国語大学出版会・同)ほか

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