道警不祥事から考える〈75〉
相継ぎわいせつ、盗撮

2025年03月号

北海道の知事部局などが懲戒処分の全件公表を続ける中、捜査機関のみがそれを免れる特権を死守している
(札幌市中央区の北海道警察本部)

警官ら処分、前年比大幅増
道警不祥事2024年速報


公文書開示請求で掘り起こした地元警察の不祥事を本誌面で初めて報告したのが、2016年1月号の小欄。それから9年以上が過ぎてなお、懲戒処分の全件公表を免れる“警察特権”は揺らいでいない。近年は地元紙も本誌と同旨の開示請求の成果を報じ始め、未発表事案がニュースになる機会こそ増えたが、当局が特権を手放す動きは見えないままだ。文字通りの“十年一日”を確認した上で、去る2024年の処分等記録の速報値を報告したい。

取材・文=小笠原 淳

開示請求で報道、新聞も


 北海道警察の未発表不祥事をめぐる話題、2024年の動きで特筆すべきは、地元紙・北海道新聞の一連の独自報道に尽きると言ってよい。同紙は道警の懲戒処分などの記録を入手する定期的な公文書開示請求を始めたとみられ、その成果を次々と記事化するようになった。記憶に新しい昨年11月以降の見出しだけを挙げても、ざっと左の如し。
《帯広署男性巡査 盗撮で懲戒処分》…11月22日
《警部補盗撮公表せず》…12月20日
《信号無視逃走4巡査処分》…1月25日
 最後の交通違反事案については処分前の一報も12月25日付の道新紙面が担うことになり、地元報道各社がこぞって後を追った。記事には速度違反をした巡査らによる「逃げろ」などの発言も盛り込まれ、事案の悪質さが強調されている。年明けに開示請求で確認したとみられる処分報道では、巡査らへの制裁が懲戒処分に到らない監督上の措置に留まった事実などが明かされた。
 本誌が2016年以降の小欄で繰り返し伝えてきたように、警察には職員の処分などを隠し続けることが許される独特のルールがある。北海道の知事部局や教員委員会など、即ち警察以外の全機関では懲戒処分を原則全件公表しているところ、最も襟を正すべき警察のみが唯一それを免れているのだ。地元議会でこの件を追及されるたび、道警の幹部らは「引き続き適時適切に発表を」との文言で“警察特権”を正当化し続けてきた。
 当局の姿勢が改まらない中、ここに来て新聞が独自の判断で未発表事案を掘り起こし始めた動きは、素直に歓迎すべきだろう。道新報道がきっかけで他社に関心が拡がる可能性にも期待でき、実際すでに前述のような成果が得られている。これまでの記事を確認する限り、四半期(3カ月)ごとに不祥事記録の開示請求を続けている本稿記者に対し、道新はそれを上回る毎月一回の頻度で請求を試みているようだ。この慣行がいつまで続くのかは知る由もないが、願わくば道警が方針を改めて“特権”を手放す日が訪れるまで地道に継続して貰いたい。さらに願わくば、同じ試みがほかの報道機関にも広く定着して欲しいところだ。

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2024年の懲戒処分は前年比で倍増、その半数ほどを異性関係の不祥事が占める結果となった
(北海道警察が一部開示した昨年1-12 月の『懲戒処分一覧』)=一部墨塗り処理は道警・以下同

令和6年1月監督上の措置一覧

令和6年1月監督上の措置一覧

令和6年2月監督上の措置一覧

令和6年2月監督上の措置一覧

令和6年3月監督上の措置一覧

令和6年4月監督上の措置一覧

令和6年5月監督上の措置一覧

令和6年6月監督上の措置一覧

令和6年7月監督上の措置一覧

令和6年7月監督上の措置一覧

令和6年8月監督上の措置一覧

令和6年9月監督上の措置一覧

令和6年9月監督上の措置一覧

令和6年10月監督上の措置一覧

令和6年11月監督上の措置一覧

令和6年12月監督上の措置一覧

2024年の懲戒処分は前年比で倍増、その半数ほどを異性関係の不祥事が占める結果となった
(北海道警察が一部開示した昨年1-12 月の『懲戒処分一覧』)=一部墨塗り処理は道警・以下同

令和6年1月監督上の措置一覧

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