“核のゴミ”レポートPART41「文献調査報告書」の説明会と地層処分政策への疑問
綻び始めた壮大な虚構

2025年02月号

公表された「文献調査報告書」について、NUMOが札幌市内で開催した説明会(夜の部・昨年 12月13日)。300件ほどの質問が寄せられたが、直接的な質疑は認めず、参加者から疑問の声が…。経済産業省の担当課長による強気の発言もあった

概要調査に向けNUMOが道内各地で続ける不毛なセレモニー


後志管内の寿都町と神恵内村で2020年から行なわれてきた“核のゴミ”最終処分地選定に向けた「文献調査」の報告書について、NUMO(原子力発電環境整備機構)による説明会が各振興局の所在地を中心に開かれている。道民の疑問に対し、文書の質問は受け付けるが口頭でのやり取りはせず、「詳細は概要調査でチェックする」と繰り返す。経済産業省の担当課長は法律を盾に「地層処分が唯一の方法」と豪語する……。そこには道民の懸念について丁寧に対応する姿勢は窺えなかった。「概要調査」に向けたセレモニーの色彩が濃い説明会の実態や破綻した核燃料サイクル政策の現状、立地調査の手法を疑問視する地質研究者の声、住民投票の行方などを探った。

(ルポライター・滝川 康治)

参加者との個別の質疑は認めず
説明会はアリバイづくりに終始


“核のゴミ”最終処分地の選定に向けた「文献調査」の報告書をめぐり事業主体のNUMOは、昨年11月30日の寿都町を皮切りに各振興局所在地を中心にした説明会を続けている。
 12月13日の札幌会場には170人余りが訪れた。参加者に質問用紙が配られたが、NUMOは質問に対する直接的なやり取りを認めなかった。最初の1時間20分ほどが報告書の内容について3部構成の説明に費やされた。休憩後の“質疑”の時間は40分余り。一問一答方式は採用せず、3百件ほどに上った質問事項をNUMO側が仕分けし、担当者が早口で答えていく……。
 そんな一方的な進め方に憤る一部の参加者からは、「質問に答えていない!」「茶番だ!」などと抗議の声が上がった。終了後のぶら下がり会見の中で、「こうした進め方では参加者のストレスがたまるのではないか」と質したマスコミ記者もいたが、NUMOの苗村公嗣専務理事はもっぱら言い訳に終始した。
 説明会の最後に次のような強気の発言をしたのは、経済産業省の横手広樹放射性廃棄物対策課長である。
「(寿都での)住民投票は首長の判断であり、その是非をコメントする立場にない。首長の意見に反して先に進むことはありません」
「(特定放射性廃棄物は受け入れがたいとする)道条例についてコメントする立場にはないが、処分場は全国どこかに造らなければならない。(立地調査に対して)手を挙げてくれた地域に感謝の意を表すために交付金制度を設けています」
「『日本で地層処分ができるのか』『(“核のゴミ”は)地上保管すべき』との質問があったが、我々はしっかり検討した上で最終処分法を制定している。現時点で唯一可能な地層処分を現世代でやっていくべき」
 法に基づく手続きだから質問は受け付けるが、今後は粛々と「概要調査」に向け事を進める──と宣言したようなものだ。原発の再稼働を進める上で、何とか“核のゴミ”最終処分の道筋をつけておきたい、という焦りが透けて見える。

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説明会の終了後、ぶら下がり会見に臨むNUMOの苗村公嗣専務理事(左端)

岡村聡さんを講師に寿都町の住民グループが開いた地質見学会(22年6月)

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