旭川 少女凍死事件の深層【3】
再調査委を批判する金子圭一元校長が当時を証言(前篇)
爽彩さんが居場所を求めさまよい続けた「3カ月」

2025年02月号

広瀬さんが仲間と集まっていた公園で当時の状況を説明する金子元校長(2024年11月20日、旭川市内)

2021年3月下旬、旭川市内の公園で凍死体で見つかった広瀬爽彩(さあや)さん(当時中学2年生・14歳)。その亡くなり方の凄惨さも相まってこの事件は全国的に注目され、旭川市による2回にわたる調査の結果、「いじめが自殺の主因」とされたことは周知の通りだ。だが広瀬さんが入学した中学校の当時の校長・金子圭一氏(65)は、「事実に反する」として再調査の結果に憤りを隠さない。1年生の夏休みを前に起きた入水騒動、入院、そして転校──。わずか3カ月の間に彼女の身にいったい何があったのか。教育現場のトップだった金子元校長が取材に応じ、当時の様子を赤裸々に語った。

(本誌編集長・工藤年泰)

小学校からあった申し送り


 先月の1月号で既報のように金子圭一元校長は、昨年9月に再調査委員会が新たに認定した学校内のいじめを否定し、報告書の内容の多くが間違っていると批判しているひとりだ。2019年4月に入学し、2学期を待たず転校していった広瀬爽彩さん。この間、広瀬さんの身に起きたことに学校や親はどう対応したのか。彼女に最も近いところにいたひとりである元校長の証言に耳を傾けたい。


 ──尾木直樹委員長を筆頭にした再調査委員会の報告書(2024年9月公表)に憤慨されている。
 金子
 明らかに多くの事実関係が間違っているため、尾木委員長をはじめ、文科大臣や道教育長などに質問状を送りました。当事者である今津寛介旭川市長にも「再調査委員会(公表版)の重大な事実誤認」として、是正を促す要請文を送りましたが、12月6日付で返ってきた答えは「要望には添えない」というもの。それで今度は事実を列挙したうえで「抗議文」を送付しました。
 ──憤慨されている一番の理由は。
 金子
 ひとことで言えば地元月刊誌、大手出版社、道内大手紙といったメディアによる誤報道、そして行政の不作為によって一連の事実が捻じ曲げられたままだからです。それらによって当事者、関係者が受けた人権侵害、精神的苦痛は計り知れません。爽彩さん自身の尊厳の回復という意味でも、3カ月とはいえ一定期間彼女の傍にいた者として事実を語らねばならないと考えています。

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入学した広瀬さんが3カ月在籍していた公立中学校(写真の一部を加工しています)

広瀬さんが発見された公園の献花台に掲げられている本人の肖像

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