安平川PFAS汚染の深層を探る
問われる道の環境行政

2024年12月号

安平川に架かる源武橋(写真)で採取された河川水からは、暫定目標値の2倍近い濃度のPFASを検出。静かな農村地帯が広がり、近くには産業廃棄物の処分場などがある

「汚染源の特定」を放置してどう道民の生活を守るのか

今年7月、先端半導体工場「ラピダス」に供給する工業用水をめぐって北海道が実施した水質調査で、安平川に架かる源武橋から採取した河川水から国の暫定目標値を大きく上回るPFAS(有機フッ素化合物の総称)が検出された。それまで低かった数値は、この橋で大きく上がる。汚染源はどこか探ってみると、ひとつの産業廃棄物処分場の存在に突き当たる──。「ラピダス」でも半導体の製造工程で規制対象外のPFASは使われる予定だ。浮上したこの問題の深層を探ってみた。

(ルポライター・滝川 康治)


ラピダス関連のPFAS調査で河川水から目標値の2倍を検出


 胆振管内安平町と空知管内由仁町の境界が源流になっている安平川は、農村地帯や勇払原野などを貫流し、苫小牧市内で太平洋へ注ぐ延長50キロほどの2級河川である。今年7月、道が実施した先端半導体企業「ラピダス」に供給する工業用水をめぐる調査の中で、安平川に架かる源武橋から採取した水から、飲用水の暫定目標値の2倍近い95ナノグラム/リットルのPFASが検出された。そのほとんどは毒性が強く、2021年からは製造・輸入が原則禁止されているPFOA(ピーフォア)と呼ばれる物質。調査結果に対し、道民の間にも衝撃が走った。
 筆者は10月下旬、人口7千余りの安平町の南部に位置する源武橋に向け、車を走らせた。晩秋の田園地帯を流れる安平川は濁り、清流とはほど遠い。北には早来地区の市街地が広がり、近くにはゴルフ場や乳牛の共進会場もある。高低差の少ない道道を通り、厚真町内を経由して苫東の一角にある工業用水の取水施設にも行ってみた。
 巨大半導体企業「ラピダス」は、新千歳空港に近接する工業団地「千歳美々ワールド」の敷地内に建設される。本来は太平洋に注ぐ安平川の水を苫東地区でくみ上げ、22キロにおよぶ配水管を使って半導体工場に送る。配水工事の事業費は2百億円程度(完成予定は27年度の第1四半期)。ラピダスの排水は、千歳市の公共下水処理場を経て、千歳川に放流する計画になっている。

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新千歳空港にほど近い「美々ワールド」の一角で急ピッチで進む「ラピダス」の建設現場

80年代半ばから産業廃棄物の搬入が始まった早来工営の入り口。取材を要請したが拒否された

旧早来町遠浅地区の自治会役員として住民運動を支えてきた大嶋一紀さん

別の産廃処分場計画に異議を唱える「あびらの自然を守る会」代表の山下美樹さん

安平川の水は「ラピダス」に供給。排水は公共下水道を経て、この樋門から千歳川に放流される

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