中和興産と中和welfareが迎えた末路
「杉澤正通劇場」開幕─

2024年12月号

取材の場は閉鎖命令が出された「ふしみの森めぐみ保育園」の2階だった

事業破綻の責任をスタッフと親族に押し付ける「杉澤親子」


保育事業の中和興産(本社札幌)、障害者福祉事業の中和welfare(同)。ガソリン販売道内大手で知られる中和石油の元社長、杉澤達史氏(故人)の未亡人である杉澤廣子氏(78)と三男である杉澤正通氏(42)が共同経営(登記上の代表者は廣子氏)してきた両社が8月から9月にかけて札幌市の認可および指定を取り消され、事実上破綻した。行政側から不正受給を指摘され総額2億円もの返還を求められる中で、どうやら正通氏はメディアを使って反撃を始めたもようだ──。

(本誌編集長・工藤年泰)

「財さつの記事、読んだ?」


 周知のように中和興産においては、運営していた認可保育所4園が8月28日までに認可を取り消され、残りの企業主導型保育所は同日付けで施設閉鎖命令が出された。そして中和welfare(ウェルフェア)が運営していた市内2カ所の就労継続支援A型事業所(ミンナノオシゴト桑園・ミンナノオシゴト菊水)については9月27日付けで指定が取り消されるに至った。
 これらの措置に伴い、札幌市は補助金の不正受給などがあったとして中和興産に対して約1億円、中和welfareには約4200万円の返還を求めている最中だ。加えて中和興産は、企業主導型保育事業を所管する児童育成協会(本部東京)からも助成金の過払い分として約4700万円を返還するよう命じられている。
 手がけていた事業全てが“強制終了”となり、2億円近い公金を返還する義務を負った杉澤廣子氏と正通氏だが、そんな中で関係者を驚かせたのが10月14日に発売された財界さっぽろ11月号に掲載された「保育園・1億円不正の中和興産経営者が独占激白!」という4頁にわたるトップ記事だった。
 同誌での正通氏の主張を端的に言えば、「一部の社員が社長(廣子氏)を拉致・軟禁して会社の乗っ取りを企てたことで両方の事業が立ちいかなくなった。この会社乗っ取りには兄(杉澤謙次郎氏)も加担し、そこには中和石油の思惑も絡んでいた」というもの。記事にはこの主張を裏付けする形で廣子氏のコメントも添えられていた。
 その正通氏から編集部の担当記者に電話が入ったのは翌15日のこと。
「北方ジャーナルさんですか。ところで財さつの記事読んだ?」
「読みましたよ」と答えると「取材したい?」と正通氏。無論こちらとしては渡りに舟である。

2つの会社の本社を兼ねる杉澤邸(札幌市中央区)

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園児たちが過ごした痕跡がまだあちこちに残っていた

2015年に亡くなった父親の葬儀に出席した当時の杉澤正通氏(右から2番目)

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