もの言う自衛官 法廷へ
公益通報 テロ扱い

2024年11月号

「真面目に勤務する隊員が救われ、自衛隊がハラスメントのない職場になるように」と原告男性(9月9日午後、札幌市内)

現職自衛官が陸自に損賠請求
パワハラ告発、上官に筒抜け


所属部隊のパワーハラスメント問題を告発したら、通報内容が部隊に筒抜けになった――。理不尽な被害を受けた現職自衛官の男性が、組織に籍を置いたまま自衛隊を訴える裁判を起こした。匿名の告発人は職場の“犯人捜し”の標的となり、当時の上官から「通報はテロ行為」などの暴言を受けたという。法廷では、被告の国がそれらの暴言や不利益な取り扱いの多くを認める異例の展開に。この秋に幕を開けた裁判で、組織の不正隠蔽疑いはどこまで断罪されることになるのか。

取材・文=小笠原 淳

「テロ行為だ」「謝罪せよ」


 9月9日午後、札幌地方裁判所。
「私は、幹部自衛官によるパワハラが常態化している状況をおかしいと思い、同僚たちの職場環境の改善も考え、陸上自衛隊のパワハラ相談室に匿名にて通報しました」
 その日に最初の口頭弁論を迎えた裁判で意見陳述に立ったのは、北海道内に勤務する50歳代の男性自衛官。裁判は、ハラスメント通報により不利益な取り扱いを受けた被害の賠償を国に求めるものだ。職場で見聞した日常的なパワーハラスメントを匿名通報した男性は、上官により通報者と特定され「報復」を受けることになったという。相談窓口が男性の職場に告発の内容を伝え、情報が上官に筒抜けになっていたのだ。陳述は、こう続く。
「特定された私は、最高指揮官を含む高級幹部である1等陸佐3人に報復を受けました。『混成団はたとえ匿名でも必ず通報者を特定して処罰する』『通報というテロ行為をする者は許すわけにいかない』と」
 上官らは男性に“自白”を強要、先の暴言に加えて「威力業務妨害で訴える」「反逆行為だ」「処分する」「謝罪せよ」などと迫った。あきらかに常軌を逸していると感じた男性はこの件でも別の窓口に相談を寄せたが、いずれもことごとく隠蔽をはかられる結果となる。

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