「旭川・女子中学生いじめ凍死事件」の深層
隠され続ける「誤報道」

2024年11月号

廣瀬さんが見つかった旭川市内の公園に設置された献花台(管理事務所内)

“盛られた事実”の拡散と隠蔽で起きた事件関係者の「二次被害」


雪解けが始まったばかりの公園で見つかった女の子の遺体──。3年前に起きた「旭川・女子中学生いじめ凍死事件」は、大手メディアのオンライン報道や旭川市が再調査を手がけたことで全国的に注目を浴びた。だが、この事件をめぐる報道に多くの誤りがあったことをほかならぬ同市自身が認定していた事実はあまり知られていない。これらは最初の調査報告書で詳細に指摘されたが、公表にあたり全て黒塗り処理されたからだ。メディアの誤報と行政の隠蔽がもたらした深刻な二次被害とは──。

(本誌編集長・工藤年泰)

再調査委が触れなかった報道の「事実と異なる記載」


 2021年2月13日に自宅から失踪し、1カ月以上経った3月21日に旭川市内の公園で凍死体となって発見された地元の女子中学生、廣瀬爽さ彩あやさん(当時14歳)。この廣瀬さんに対する、いじめの実態について2回目の調査を進めていた「旭川市いじめ問題再調査委員会」(尾木直樹委員長・以下再調査委)による報告書の公表版が9月13日、市のホームページにアップされた。
 この「旭川・少女いじめ凍死事件」については、旭川市教育委員会による「旭川市いじめ防止等対策委員会」(第三者委員会)が2022年9月に最初の報告書を公表し、「いじめはあったが、それが本人を自殺に駆り立てた原因とまでは言えない」と結論づけていた。この結論に遺族側が反発したことを受け市側が進めてきたのが、今回の再調査という位置付けだ。
 今回、公開された報告書はA4版367頁。全文382頁から個人情報保護法や市の情報公開条例に基づき個人の特定につながる情報などを除いて公表し、前回調査で認定された5件以外に2件のいじめを認め、広瀬さんのSNS投稿や心理学的分析などから自殺はいじめが主因だったと結論づけた。関係生徒をはじめ学校関係者、市教委や道教委、警察などの対応について詳述し、広瀬さんの発達特性などプライバシーに当たる情報も明らかにされている。
 だが、今回の公表版に存在していなかったのが、これまでの報道に関する検証や評価だ。否、なかったわけではない。再調査委は報告書の「はじめに」で、次のような一文を記している。

9月13日に公開された再調査委による報告書

第三者調査委の報告書では「第6本件重大事態に係る報道の誤り」全てが黒塗りされた

中和興産
幕が開いた「杉澤劇場」

ヒグマ駆除裁判で逆転判決
全面敗訴にハンター動揺

自殺学生遺族陳述
江差パワハラ裁判で初弁論

自公大敗は本当に「政治とカネ」だけだったのか!?

公園から本人の自宅までの距離は2キロほどだった

普津澤 峻(ふつざわ・しゅん)1988年、神奈川県藤沢市出身。原発作業員、中小企業経営者、IT関係などさまざま職を経て、いじめ問題に取り組み、2018年に対策サイト「いじめ撲滅.com」を開設。「旭川 少女いじめ凍死事件」では、遺族側のサポートに尽力しながら誤報道による第二のいじめなどを問題視。今年6月、黒塗り処理を外した第三者委員会による報告書をネット上に公開して物議を呼んだ。藤沢市在住。36歳

公園から本人の自宅までの距離は2キロほどだった

9月13日に公開された再調査委による報告書

普津澤 峻(ふつざわ・しゅん)1988年、神奈川県藤沢市出身。原発作業員、中小企業経営者、IT関係などさまざま職を経て、いじめ問題に取り組み、2018年に対策サイト「いじめ撲滅.com」を開設。「旭川 少女いじめ凍死事件」では、遺族側のサポートに尽力しながら誤報道による第二のいじめなどを問題視。今年6月、黒塗り処理を外した第三者委員会による報告書をネット上に公開して物議を呼んだ。藤沢市在住。36歳

第三者調査委の報告書では「第6本件重大事態に係る報道の誤り」全てが黒塗りされた

中和興産
幕が開いた「杉澤劇場」

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