千歳川に架かる日の出橋で採水する「北海道PFAS調査隊」
(8月19日・左端が呼びかけ人の藤原寿和さん)
■市民グループと専門家が千歳川などで採水調査に着手
北海道は7月16日、安平川を水源にする苫小牧地区工業用水道第2施設から、国の飲用水の暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)を超えるPFAS(有機フッ素化合物の総称)を検出したと発表した。安平町内を流れる同川に架かる源武橋付近では目標値(PFASの一種のPFOSとPFOAの合計値)の2倍近い数値を示しており、町内で長年操業している産業廃棄物の処分場が発生源の可能性が高い。
飲用にはならないものの、この安平川の水は先端半導体工場「ラピダス」の水源にも利用され、排水処理後は千歳川に放流する計画。同工場は、すでに製造中止されたPFOSなどは使わない方針だが、PFASには多数の類似物質がある。それらは半導体の洗浄にも使用され、千歳川経由で日本海に注ぐことになる。
「発ガン性のあるPFASが全国的な話題になる中、道は10年ほど前に実態調査をしただけでした。しかし今回、安平川での汚染実態が浮上し、対応せざるを得なくなった。千歳川や安平川、美々川の流域には、すでに何社か既存の半導体工場もある。北海道の人たちは、そこに『ラピダス』が加わるとどうなるのか──と考えていく必要があるのです」