通信大手元幹部の不動産投資詐欺疑惑を追う
元同僚らを騙して資金を集め自己破産で踏み倒した9億円
男性は自分の顧客たちに問い詰められることもあった
(写真は債権者宅で撮影された男性の姿)
札幌在住の高齢男性が9億円近い負債を抱えて自己破産した。かつて通信大手の取締役だった男性は在職時から借金を繰り返し、手がける不動産投資事業で配当を出すとして元同僚や知人から多額の金銭を集めていた。だが、事業は全くのでっちあげ。昨秋から詐欺容疑で刑事告訴に動いていた債権者たちは、今回の自己破産を「責任逃れ」と怒りを隠さない──。
(本誌編集長・工藤年泰)
「いい話があるんですが」
8月23日午後3時から札幌地方裁判所別館4階(札幌市中央区)で開かれた債権者集会──。この日、集まった20数名の債権者の前に現れた78歳の男性に、饒舌だったかつての面影は全くなかった。 昨年12月21日、この男性から破産手続き開始の申し立てを受けた札幌地裁は、今年4月22日に手続き開始を決定。先の債権者集会はこれを受けて開かれたものだ。 破産管財人(佐々木潤弁護士・札幌弁護士会)の調査で認定された本人の債務総額は実に8億7487万円。今回の手続き開始に至った事情などについて佐々木弁護士が説明した後、「何か言うことは?」と水を向けられた男性は、うつむいたまま「申し訳ありません…」と口にするのみだったという。 個人の破産としては相当な巨額といえる債務をこの男性は、いかにして抱えることになったのか。 債権者のひとりが記者に口を開く。 |
「元同僚ということで気を許してしまった」と話す債権者
「元同僚ということで気を許してしまった」と話す債権者
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