「ラピダス」の東哲郎会長が札幌で講演
先端半導体開発の失地を回復し北海道の6次産業を世界へ発信

2024年09月号

「北海道経営未来塾公開講座」で講演する東会長(7月22日、札幌パークホテル)

〈ひがし・てつろう〉1949年8月東京都出身。73年国際基督教大学教養部社会科学科卒、77年東京都立大学大学院社会科学研究科修士課程修了、同年東京エレクトロン研究所(現東京エレクトロン)入社。96年同社代表取締役社長。代表取締役会長を経て19年退任。22年8月ラピダス代表取締役会長。74歳

札幌商工会議所・北海道商工会議所連合会による「TOP SEMINAR 2024 北海道経営未来塾公開講座」が7月22日、札幌市内で開かれ、Rapidus(ラピダス・東京都千代田区)の東哲郎会長(74)が、「半導体産業の持続的成長に向けて 今、何故『最先端半導体』を選択したか」をテーマに講演した。千歳でのパイロットライン稼働を来年に控え、道内で経済効果に期待感が広がる中、札商会員など約250人が東会長の話に耳を傾けた。この日の講演要旨を紹介する。

(佐久間康介)

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ラピダスはスピードで勝負


 1987年から92年くらいまで、半導体で日本の世界シェアは50%近くあった。しかしそれ以降、どんどんと落ちていき今は10%以下。かつては日本がアジアと欧米の間に立って中心的役割を担ってきたが、日本はシェアと最先端テクノロジーの追求を諦め、輸入すればよいという形に変わっていった。
 結果的に先端技術空洞化の道を選んでしまい、日本は半導体開発で蚊帳の外に置かれるようになったが、台湾など東アジアから制限なく輸入できる状態ならそれでも何とかなる。輸入がうまく回って、潤沢に先端IC(集積回路)が日本に入ってくれば産業界もある程度はやっていける。しかし、それでは最先端の分野を開発するチャンスがほとんど生まれず、輸入が止まってしまえば大変な事態になる。それがいまの日本の姿だ。
 そうした中、いま世界は回路線幅2ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル、髪の毛1本の約10万分の1)の開発を必死に追いかけている。TSMC(台湾積体電路製造)が熊本で新しい半導体を手掛けているが、現在の目標は22ナノメートルで2ナノメートルにはほど遠い。TSMCは、将来的に3ナノメートルまでは製造できるだろうと言われているが、このままいくと日本はそういう開発競争に完全に取り残されることになる。
 生成AIが今後どんどん伸びていくほか、データセンター、ロボットやクルマ、スマートフォン向けにも伸びていく。これらの半導体は、ますます高機能化されて消費電力が大きくなり、バッテリーが追いつかなくなる。つまり低消費電力化と高性能の両方を実現できる技術がマストになる。そういう意味で、ラピダスが狙う2ナノメートルは最適の半導体だ。現状の最先端半導体は28ナノメートルだが、我々がやろうとしている2ナノメートルでは消費電力が圧倒的に下がる。この技術を実現してAIを普及させ、日本がAI半導体の中で世界でトップになっていくことを考えないといけない。

「北洋銀行ものづくりサステナフェア」に出展したラピダスのブースを訪れた同行の津山博恒頭取(左から2人目)

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