道警不祥事から考える〈71〉
「警察は襟を正して」

2024年09月号

殺人事件の衝撃にも増して、捜査員らの不祥事疑惑は全国的な関心を集めることに
(旭川市の北海道警察 旭川中央警察署)

「文春砲」被弾警官の写真流出
旭川中央署員ら不適切飲酒か


本年4月に旭川市で起きた殺人事件をめぐり、7月上旬の『週刊文春』報道で伝えられた容疑者と捜査員との不適切交際疑い。同中旬にはその疑惑を補強する“証拠写真”がみつかり、複数のウェブ媒体や週刊誌が報じたほか、SNSを通じてまたたく間に拡散した。倫ならぬ出会いの舞台となったのは、旭川「三六街」のカラオケスナック。写真の存在を知らしめた人物は、憤りを込めて訴える。「警察は襟を正して欲しい」――。

取材・文 小笠原 淳
1968年小樽市生まれ。地方紙記者を経て2005年からフリー。「北方ジャーナル」を中心に執筆。著書に『見えない不祥事』(リーダーズノート出版)。55歳

出会いの場は署の新年会 
流出画像に残された記録


 その店に地元の警察官たちが集まるようになったのは、開店から半年ほどが過ぎた本年1月中旬のことだった。
「12日の夕方に旭川中央署の刑事二課から電話来て『これから何人かで行っていいか』と。新年会の時期だったから、どっかで飲んだ後の二次会に使ってくれたんでしょう」
 忘れ難い夜を振り返るのは、旭川市の歓楽街「三六街」でカラオケスナックを経営する男性(71)。常連の警察官たちには「ジジ」の愛称で知られていた。
 その夜に店内で撮影された写真がのちに流出・拡散することになったのは、3カ月ほど後に起きることになる殺人事件の関係者が事件を捜査する刑事と飲食をともにする姿が記録されていたためだ。のみならず、複数の警察官が未成年女性とアルコールを囲んでいるとみられる画像も残されていた。
「最初は7、8人だったのがどんどん増えて行って、二課だけでなく一課も混ざって最終的に50人ぐらいになった。そこへあの子が来たのが12時ちょっと過ぎたころ。『先輩』の女を連れてきたのさ」
 語られる「あの子」は店の常連だった若者グループの1人で、当時19歳の少女。店主の男性は彼女が未成年であることを知らなかったが、警察官たちはその事実を把握している筈だった。そして、その人に伴われて初めて来店した「先輩」こそ、のちに大きな事件の容疑者として知られることになる女性(21)だった。


 地元報道などによると、旭川市の神居古潭でその事件が起きたのは本年4月中旬。留萌市の女子高校生が石狩川に架かる吊り橋から落とされ、5月下旬に遺体でみつかった。事件の容疑者として逮捕されたのは旭川市の無職女性、即ち前段に登場する「先輩」と、知人の19歳女性(先述の少女とは別人)の2人。のち、ともに殺人などで起訴されることになる。
 同事件は週刊誌や民放ワイドショーなど中央の媒体でも繰り返し報じられたが、とりわけ衝撃をもって受け止められたニュースが、事件を捜査する刑事と主犯格の容疑者女性との「不倫」疑惑だった。『週刊文春』7月11日号に掲載された「捜査幹部」の証言の一部を、左に(伏字は本誌)。
《実は■■は、このX警部補と肉体関係を持っていた。彼は五月まで同署の刑事第一課強行犯係で係長を務めていました》
 この警部補、即ち旭川中央警察署で殺人などの強行犯を捜査していた男性刑事と、4月の殺人事件の被告となった女性とが出会った場こそ、本稿冒頭に再現した1月の「新年会」だったわけだ。
 同夜の様子を記録したとみられる写真が世に出回り始めたのは、本誌前号締め切り直後の7月中旬のことだった。

大怪我を負った男性に、警察は「力不足」と頭を下げたという(被害男性提供)
=画像の一部加工は本誌

通信大手元幹部の不動産投資詐欺を追う

野次排除事件から5年
国賠「半分勝訴」確定

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道内初、ハイブリッドERを導入した札幌東徳洲会病院
3次救急に遜色ない体制で重症患者の救命率をアップ

本年〝第2四半期〟に記録された懲戒処分3件は、いずれも大きく報道発表されている
(道警が開示した『懲戒処分一覧』)
=一部墨塗り処理は道警、次頁以下同

令和6年4月監督上の措置一覧

令和6年5月監督上の措置一覧

令和6年6月監督上の措置一覧

大怪我を負った男性に、警察は「力不足」と頭を下げたという(被害男性提供)
=画像の一部加工は本誌

本年〝第2四半期〟に記録された懲戒処分3件は、いずれも大きく報道発表されている
(道警が開示した『懲戒処分一覧』)
=一部墨塗り処理は道警、次頁以下同

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