地域発「ものづくり企業」のスピリット①──【釧路・株式会社ニッコー】
成長の原動力は「地域の課題解決」
食産業を支える技術集団の底力

2024年07月号

ニッコー本社のエントランスに飾られた書の前に立つ佐藤一雄代表取締役

一次産業の付加価値を高めてきた「挑戦」


釧路市の郊外、鶴野地区の広々とした敷地に建つ株式会社ニッコーの本社社屋。工場を併設した2階建ての建物では、黙々と多くの技術者たちが同社の社是である「挑戦」を続けている。釧路に生まれ育った同社は、地元産業が抱える課題の解決を原動力にしてきた地域密着型の「ものづくり」企業だ。これまで半世紀近くに亘って蓄積した技術とノウハウから紡ぎだされるオーダーメイドの加工機械やシステムは、道内各地の一次産業を支える大事な役割を担うだけではなく、全国、そして世界へと販路を広げつつある。そんなニッコーを訪ね、佐藤一雄社長にものづくりに賭ける思いと同社のスピリットを訊いた。

(5月29日取材 佐久間康介・工藤年泰)

創業当時から培われてきた課題解決に挑む会社の気風


 ニッコー本社の扉を開けると、勢いのある筆致で描かれた大きな書が目に飛び込んでくる。札幌の書家、石野華鳳氏による「挑」という字だ。佐藤一雄代表取締役(52)がにこやかに語る。
「創業当時から当社の社是は『挑戦』。私たちは、これまで不可能を可能にする挑戦を繰り返し、お客さまの信頼を得て成長してきました。この書は、創業者である父(佐藤厚氏)が会長となり、私が代表取締役になった節目の2019年に石野さんに書いてもらったもの。素晴らしい作品だと思います」
 同社の「挑戦」の原点になったのはおよそ半世紀前、地元釧路の水産加工業が抱える課題の解決だった。
 当時の釧路市は漁獲量日本一の水産都市として知られ水産加工業も盛んだった。しかし、“女工さん”と呼ばれていた女性従業員たちの負担は大きく、大量の魚を捌くことで腱鞘炎になったり体調を崩す人もいた。また事業者は多額の人件費というリスクも抱えていた。
「根っからのアイデアマンだった父は水産加工業者たちの悩みを聞き、こうした作業を自動で出来ないかを考えました。そんな父が脱サラして鮭鱒(ケイソン)とホタテに絞って事業を始めたのが1973年。弊社設立はその4年後の1977年のことです」(佐藤氏・以下同)
 最初に作った加工機械は現在の「鮭専用ガッターマシン」のプロトタイプと言えるもので、鮭の腹を開き内臓や魚卵を分離する装置だった。この装置は同社の根幹技術となり、改良に改良が加えられ三枚おろしにしたり、味付けをしたり、切り身にしたりと各工程に対応できるようになっていった。やがて水産加工業界にとっては画期的なものとなり、作業員の重労働を大幅に軽減するとともに、地元水産加工業の競争力を高めるのに大いに役立っていく。
 現在は、一次加工から最終製品に仕上げるまで機械をラインナップ。魚卵の加工装置や洗浄装置も揃え一貫した鮭の加工ラインを作ることが可能になっている。こうした機械の販路は、北海道のみならず東北や海外に広がっており、正確な統計はないものの鮭加工機械のニッコーのシェアは7~8割にも及ぶという。

(さとう・かずお)1972年5月釧路市生まれ。釧路高専卒業後、北九州市の産業用ロボット大手「安川電機」子会社の「安川商事」(本社東京)に入社、エンジニアとして産業用画像処理などに従事。実父が1977年に設立したニッコーに2000年入社、19年に代表取締役就任。趣味は写真。シマエナガに続いてモモンガの撮影に挑戦中

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ニッコーの本社社屋(釧路市鶴野地区)

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(さとう・かずお)1972年5月釧路市生まれ。釧路高専卒業後、北九州市の産業用ロボット大手「安川電機」子会社の「安川商事」(本社東京)に入社、エンジニアとして産業用画像処理などに従事。実父が1977年に設立したニッコーに2000年入社、19年に代表取締役就任。趣味は写真。シマエナガに続いてモモンガの撮影に挑戦中

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