先端半導体工場「ラピダス」の操業を危惧する藤原寿和さんに訊く
バラ色だけではない未来

2024年06月号

2025年の操業をめざす国産先端半導体の製造工場「ラピダス」の建設現場(千歳市美々)。急ピッチで工事が進むが、製造に伴う〝負の影響〟について、道民に対する十分な情報提供はなされないままだ

半導体に潜む環境汚染
職業病などの負の側面


次世代半導体の国産化をめざし千歳市内で工場建設が進む「ラピダス」をめぐり、バラ色の未来ばかり語られるが、それは真実だろうか。40年あまり東京都職員として環境行政に携わり、全国の廃棄物問題の市民運動にも奔走してきた藤原寿和さんは今、新たな先端半導体工場の建設に疑問を募らせる。排水による環境汚染をはじめ労災・職業病や爆発・火災事故などの発生、環境アセスメントの不備など半導体製造の“負の側面”について、来札した藤原さんに訊いた。

(ルポライター・滝川 康治)

ネガティブな側面が語られず
研究会を立ち上げ問題提起へ


 ──半導体問題との出会いは?
 藤原
 国内外の半導体工場では、1980年代から(金属機械部品の脱脂洗浄剤として使われた)トリクロルエチレンによる地下水汚染や火災事故、汚染水の河川流出などが頻発しています。わたしが東京都環境局(旧公害局)の職員のころで、地下水汚染などの対応に携わりました。(自身が暮らす)千葉県にも工場が多く、汚染が酷かった。
 かつての日本は、NECなどが世界のシェアの8割近くを占める、トップクラスの〝半導体王国〟でしたが、86年の日米半導体摩擦によって没落していった経緯があります。当時は、北海道大学の吉田文和さん(現北大名誉教授、産業技術論・環境経済学)や、技術評論家の故・剣持一巳さんのようにネガティブな面に警鐘を発する研究者もいました。
 しかし、半導体産業の没落にともない、今は全く取り上げられていません。もう一度、世の中に喚起しなければいけない、誰か声を上げるんじゃないか──と思ったのですが、誰もしてくれない(苦笑)。では自分が問題提起するしかないか、と考えました。今年1~3月に開催した、NPO法人さっぽろ自由学校「遊」の半導体講座もその一環です。
 ──半導体は生活に必要不可欠なものですが、最先端の2ナノレベルまで求める必要はないのでは。ラピダス計画を調査するきっかけは?
 藤原
 安平町の産業廃棄物処分場問題で何度か北海道に通い、美々川の調査をしなければと思っていた矢先に、上流部に工業団地ができてラピダスが立地する──という話を聞き、知己の苫小牧の方から声を掛けられたんです。昨年暮れ、美々川をたどりながら予定地を見学し、この問題に関わるようになりました。

(ふじわら・としかず)1946年、茨城県生まれ。早稲田大学理学部応用化学科を卒業後、東京都職員として40年間にわたり公害・環境・産業保安行政に従事するかたわら、70年代から公害問題などの市民運動に参加。現在は、廃棄物処分場全国ネットワークや化学物質問題市民研究会、千葉県放射性廃棄物問題を考える住民連絡会などで活動中。台湾企業のTSMCやラピダスの国内立地を機に昨年暮れ、有志で「半導体研究会」を立ち上げた。千葉県市川市在住

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21年3月、茨城県内の半導体工場で発生した火災の現場(さっぽろ自由学校「遊」半導体講座の資料から)

「遊」の半導体講座には熊本の住民もオンラインで参加(3月19日)

25年の操業に向けた「ラピダス」の工事計画表(同社の説明資料から)

※いずれも第3火曜日午後6時45 分から、札幌市中央区南1西5「愛生舘ビル」5階(オンライン受講も可能)。問い合わせはNPO法人さっぽろ自由学校「遊」(☎︎ 011-252-6752 E-mail:syu@sapporoyu.org)へ

(ふじわら・としかず)1946年、茨城県生まれ。早稲田大学理学部応用化学科を卒業後、東京都職員として40年間にわたり公害・環境・産業保安行政に従事するかたわら、70年代から公害問題などの市民運動に参加。現在は、廃棄物処分場全国ネットワークや化学物質問題市民研究会、千葉県放射性廃棄物問題を考える住民連絡会などで活動中。台湾企業のTSMCやラピダスの国内立地を機に昨年暮れ、有志で「半導体研究会」を立ち上げた。千葉県市川市在住

21年3月、茨城県内の半導体工場で発生した火災の現場(さっぽろ自由学校「遊」半導体講座の資料から)

「遊」の半導体講座には熊本の住民もオンラインで参加(3月19日)

25年の操業に向けた「ラピダス」の工事計画表(同社の説明資料から)

※いずれも第3火曜日午後6時45 分から、札幌市中央区南1西5「愛生舘ビル」5階(オンライン受講も可能)。問い合わせはNPO法人さっぽろ自由学校「遊」(☎︎ 011-252-6752 E-mail:syu@sapporoyu.org)へ

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