告発・陸の蟹工船〈5〉
報酬「お菓子やジュース」

2024年05月号

虐待疑惑をめぐっては、地元自治体による元議員への忖度などが疑われている
(恵庭市の恵庭市庁舎)

週7日労働の障碍者に賃金なし
恵庭・虐待疑いの牧場主認める


「健常者に対しては許されないことが、障碍者相手ならば許されるのか」。訴えを起こした知的障碍者たちの代理人は憤りを隠さない。昨年10月号以降の誌面で報告を続けている、恵庭市の牧場経営者による虐待疑い事件。事態を隠蔽していたとされる自治体とともに損害賠償請求の訴えを受けた関係者が、指摘される長期間の賃金未払いを事実上認めた。無休の労働の対価は、「お菓子やジュース」だったという。

取材・文=小笠原 淳

当事者「納得」と牧場主張


 本年2月末に裁判所へ提出された書類には、被告の1人の言い分を綴った「別紙」が添えられていた。
《縁あって行くあてもない彼等を愛情を持って面倒をみて、一緒に生活してきました》
 昨年6月に恵庭市郊外の牧場で浮上した、長期間の障碍者虐待疑い。知的障碍のある男性3人が劣悪な環境のプレハブ小屋で寝起きし、休みなく牧場労働を強いられ続けた上、受給できた筈の年金5000万円以上を詐取されたという疑惑だ。問題は地元・恵庭市当局も把握していたが、被害者代理人らによれば同市はその疑いを事実上放置し続けた。牧場の経営者だった元市議会議員(故人)に忖度し、事実の隠蔽をはかった可能性が窺えるという。
 当事者の男性たちは2021年までに牧場を出て別の施設に身を寄せることができたが、最長40年間もの無料奉仕となった“奴隷労働”の被害は回復できておらず、その間の年金も戻らないまま。これらの被害を訴えて牧場と市に損害賠償を求める裁判を起こしたのは、昨年8月のことだった。札幌地方裁判所(布施雄士裁判長)では本年1月までに2度の口頭弁論が設けられ、恵庭市が牧場主の「養護者責任」を認める考えをあきらかにするに到っている(3月号既報)。

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