厚真の砂利採取場で起きた産廃不法投棄事件を追う
最終処分場に持ち込まれず野ざらしにされた建築廃材

2024年05月号

かつての砂利採取場の敷地では家屋の廃材が雪をかぶっていた
(2月16日撮影:厚真町字清住地区)

厚真町で砂利採取業を営んでいた事実上の経営者が産廃の不法投棄に手を染めていた疑いが浮上した。同氏は配偶者が苫小牧市内に所有していた家屋を社員を使って解体し、建築廃材などを処分場ではなく砂利採取場に運ばせていた。これらの産廃は、採取場の土地が他者のものになった現在も野ざらしのままだ。厚真の現場でいったい何が起きていたのか──。

(本誌編集長・工藤年泰)

「厚真の土地に持っていけ」


 太平洋に面した勇払郡厚真町字清住地区。沿岸近くを走る道路脇に広がる曰く付きの土地がある。近年まで株式会社ケンショー(当時の本社は厚真町)という業者が砂利採取(洗浄)事業を行なっていた約7ヘクタールの敷地だ。
 この土地は、同社を実質的に経営していたとされる事業家、福本次雄氏という人物が長く所有していたが、今から4年前の2020年10月、道南を拠点に砕石事業などを営む株式会社北辰運輸に売却されている。ケンショーの砂利事業を承継することを前提に同社が購入したものだが、結果的に肝心の承継が行なわれず、現場はすっかりひとの気配が絶えている。土地だけ買わされた形となった北辰運輸がその後、福本氏を相手に損害賠償を求めて札幌地裁に提訴したことから、かつての事業地は今では係争の舞台に様変わりしたかっこうだ。
 両者の争いはともかく、今回はこの土地が福本氏による不法投棄、廃棄物処理法違反が疑われる現場であることをまずは指摘しておきたい。
 現地を訪れると、敷地の一角で家屋の廃材やグラスウールなどがうずたかく積まれたままになっている場所が目に入る。福本氏が先の会社に売却する3年前の2017年11月、自身の配偶者が苫小牧市内に所有する家屋の解体撤去をケンショーの社員に命じ、ここまで運ばせたものだ。

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現場には未利用の砂や重機が残されたままだ
(2月16日撮影:厚真町字清住地区)

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