Business Report
レトルト「リトルスプーン」復活 SNSで大バズりはしたけれど…

2024年04月号

エムフローズンが手掛けるリトルスプーンのレトルトカレー

道内販売がなく売れ行きは低調
目下、着々と道内展開の準備中


1月9日、北海道どさんこプラザ【公式】アカウントから「このキャラクター知ってますか?」の質問と共に、とあるキャラクターがSNSで発信された。玉ねぎのような髪型をしてカレーライスを持ったおそらく子供であろう人物キャラ。その公開から間もなく、SNS のひとつX(旧Twitter)には「リトルスプーン」がトレンドにあがった。閲覧数は2月末時点で、およそ36万。コメントには「懐かしい」「美味しかった」といった言葉が溢れた。そのリトルスプーンとは何かというと、地元のみよしのやCoCo壱番屋など競合他社がひしめき合う北海道のカレーチェーン店市場において、1999年の初出店以降一大旋風を巻き起こし急成長した店及びブランド名。SNS にあがったのは、そのイメージキャラクター「スプーンちゃん」だった。告知の真意は、同日にリトルスプーンのカレーがレトルトになって復活し、販売開始したことを伝えるものだった。

(髙橋貴充)

失われた“道民好み”のカレー


 今回の告知でリトルスプーンがいわゆるバズったのは、このカレー店がもう既に閉店していたことが、大きな理由のひとつにあっただろう。
“道民が好きな味のルゥカレー”をコンセプトに、玉ねぎをたっぷり使って独特のトロトロ感や甘みと辛さの絶妙な調和が特長だった同店のカレー。種類も沢山でボリュームのあるトッピングも好評だった。かくいう私も当時「迷ったらリトルスプーン」だったファンのひとり。いつしか拠点の札幌はもとより同市以外の道内各地、やがては道外、海外(上海に1店舗)にも出店し、60店舗以上を展開する拡大路線を歩んだ。しかし勢いは長続きせず、2007年に創業企業のオーヴがリトルスプーン事業を譲渡するとして札幌市・江別市・名寄市・八戸市以外の全店舗を閉店。事業を引き継いだコンバージョンはその後の食材価格高騰や競争激化で資金繰りが悪化し、09年に自己破産。以後ほかの会社が店舗運営を引き継いだが上手くいかず、12年までに全店舗が姿を消した。
 それから10年以上も経って、なぜレトルト商品として復活できたのか。それは同ブランドのカレールゥを作る工場や設備、レシピはしっかり残っていたからだ。現在商品製造をしているのはエムフローズン。同社は大量に料理を提供する必要のある外食産業や施設の調理を一手に引き受けるセントラルキッチン事業者だ。そしてリトルスプーンのカレーも冷凍商品として、コープさっぽろの宅配サービス・トドックなどで結構前から販売しているほか、ルーシー店などでは店舗販売も行なっている。今回のSNSでの復活に驚かされ「また食べられるんだ」と思った私だが、自分がトドック会員だったなら、或いはルーシー店などの冷凍食品売場をしっかりチェックしていたのならそう驚く事ではなく、もっと早く出会えていたわけだ。

「リトルスプーン」がトレンドにあがるきっかけとなった最初のSNS告知

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