2024 釧路特集
蝦名大也釧路市長に訊く
基幹産業の課題解決を進め観光などで新しい賑わいを

2024年04月号

釧路市長
蝦名 大也氏(Ebina Hiroya)

昨年は32年ぶりに日本一となった水揚げ量に加え、コロナ禍が落ち着いてきた中でアドベンチャートラベルの適地として注目が高まるなど、明るい兆しも出てきた道東の拠点都市・釧路。だが飼料などのコスト高と価格転嫁の難しさで酪農業は危機的状況。北海道ワイルズの東京移転で、かねてよりアイスホッケーが代名詞だったまちからプロチームが消滅する事態も。さらには釧路湿原など貴重な自然の地域資源を“エコエネルギー”を生む大規模太陽光発電施設が脅かすという問題も出始めた。果たして釧路はどんな未来を描いていくのか──。舵取り役の蝦名大也市長に訊いた。

(2月22日取材・髙橋貴充)

|ノルウェー視察から得た学びで養殖など持続可能な水産都市に|


 ──1月14日から北大水産学部の研究者の方々とノルウェーを視察されました。
 蝦名
 ノルウェーは産学官、そして地域が連携したクラスターの形成により養殖を中心に水産業を世界トップクラスに押し上げてきた漁業先進国です。主に、当市の水産業を持続可能な発展に結び付けていくための参考を得る目的で伺いました。現地では国内最大の海洋大学であるベルゲン大学での養殖業における産学官連携に関する意見交換をはじめ、学術研究機関、海面養殖施設などを視察させていただくなど沢山のご協力、そして学びを得られました。
 ──今回の視察で得た中で地域に反映、実践できそうな取り組みは。
 蝦名
 かねてよりの水産都市である釧路市では、おかげさまで昨年、32年ぶりに水揚げ量が日本一(※千葉県銚子港を抜く)となりました。しかし、過去と比べると日本国内全体の漁獲量は大きく落ち込んでおり、ピーク時の1200万トンから現在は400万トン台。当市も現在は約20万トン(※ピークは1987年の約130万トン)です。
 そういった状況の中で加工技術、高付加価値化の技術はかつてほどの事業者数ではありませんが、今もしっかり有しています。水産都市としては漁協などとも連携して生産性を高めていくことにも力を入れながら、新しい技術を取り入れた養殖も研究者の方々と進めていきたい。養殖は知恵や知見、技術の集積です。ベルゲン大学の方から伺った言葉でとても印象的だったのは、「水産業を大学卒、もしくは大学院卒が就く産業にする」というものでした。

(えびな・ひろや)1959年1月4日釧路市生まれ。83年青山学院大学経済学部で学んだ後、93年釧路市議会議員に初当選し2期務める。99年道議会議員に初当選し以後3選を果たす。2008年、3期目の任期中に道議を辞し釧路市長選に出馬し初当選。20年10月、任期満了に伴う同選挙に勝利し4期目の信任を得る。65歳

(えびな・ひろや)1959年1月4日釧路市生まれ。83年青山学院大学経済学部で学んだ後、93年釧路市議会議員に初当選し2期務める。99年道議会議員に初当選し以後3選を果たす。2008年、3期目の任期中に道議を辞し釧路市長選に出馬し初当選。20年10月、任期満了に伴う同選挙に勝利し4期目の信任を得る。65歳

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