タクシー不足解消をどうする
誰が地域の足を守るのか

2024年03月号

タクシー不足解消に向けてライドシェアは有効か
(写真は JR札幌駅南口のタクシー乗り場)

日本版ライドシェアの行方とハイタク業界の「新潮流」とは


二種免許を持たない一般の人がタクシー会社の管理下で自家用車を使って客を運ぶ「日本版ライドシェア」の試験導入が4月から東京で始まる。タクシーを拾えなかったり、配車を依頼してもなかなか来ない「地域」「時期」「時間帯」を限定した導入だが、安全管理やサービス面の課題もあり全面解禁の行方は不透明。人口減少の流れを受け鉄道やバスといった公共交通が縮小する中、地域の足をいかにして守っていくのか──。タクシー難民の解消に向け「ニセコモデル」など独自の取り組みも進めている北海道ハイヤー協会の今井一彦会長(71)に訊いた。

(1月17日取材 聞き手=工藤年泰)

コロナが明けて需要が急回復
漸減から増加に転じた乗務員


 ──まず現状からですが、人の移動が制限されたコロナ禍ではハイタク(ハイヤー・タクシー)業界は大変な影響を受けましたね。
 今井
 コロナ禍による影響はさまざまありました。タクシーの需要が減って1台あたりの売り上げが以前の半分以下になったのをはじめ、コロナへの罹患を恐れて「この辺が潮時」と退職された高齢者の乗務員も少なからずおられた。乗務員はおしなべて高齢化しており、札幌交通圏における平均年齢は65歳以上が5割以上、70歳以上は3割近くを占めています。そうした中、各事業者は雇用調整助成金などを活用しながら雇用を維持してきました。
 ──最近利用したタクシーの乗務員さんは、「おかげさまで売上はコロナ前より大幅に増えています」と話していました。一転してコロナ明けに特需が生まれている印象です。
 今井
 実はハイタクの利用は、観光客ではなく地元の方々がメイン。そういう皆さんの日中利用が戻ってきたことで、回復してきた流れです。ただ日中はそれなりの実車率(走行距離に対して実際に客を乗せた割合)でも、夜間はまだコロナ前に戻っていません。
 最も懸念されるのは乗務員の減少です。札幌交通圏ではコロナ前に約9千人いましたが、今は約6500人。全道でも1万数千人から3割ほど減少しています。もともと漸減傾向だったところにコロナ禍に襲われ、高齢者を中心に辞める人が多くなった。年金を受け取れる65歳以上が多いこともあり、フルタイムで働く人が少なくなっていることも乗務員不足に輪をかけています。
 ──コロナ禍で人離れが加速した。
 今井
 実際に動いている台数は、札幌交通圏でいえば個人の1200台、法人は約4400台です。法人ベースの稼働率は6割ぐらいで、車はあってもそれを動かす乗務員が不足している状況です。
 先ほどの乗務員の話ではないですが、回復した需要に対して台数が少ないため1台あたりの売り上げが、バブル期を超えて過去最高になっている形です。フルタイムの平均年収は、おそらく昨年で400万円は超えているでしょう。一方で、15年ほど前(※小泉純一郎内閣の規制緩和によるハイタク事業者の新規参入ラッシュで、車両飽和や乗務員の収入減の社会問題が起きた時代)は、フルタイムでも、年収300万円に届かないという時もありました。

「何より大切なのは安心安全の確保」と今井会長

(いまい・かずひこ)1952年小樽市生まれ、成蹊大工学部卒。旭硝子(現AGC)を経て79年東邦交通入社。89年同社社長に就任。2014年から北海道ハイヤー協会・札幌ハイヤー協会会長。全国ハイヤー・タクシー連合会副会長など公職多数。71歳

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(倶知安町のニセコHANAZONOリゾート)

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