ほどなく竣工を迎える特養「寿都寿海荘」(寿都町開進町)
現在6期目の寿都町長、片岡春雄氏(74)と関係が深いとされ、昨年に創立70周年を迎えた社会福祉法人徳美会(本部寿都町・徳野幸代理事長)。手がける事業は高齢者福祉をはじめ、障害者福祉、児童福祉と幅広く、寿都町と島牧村に拠点施設を展開しているほか、札幌市内にも定員180人規模の大きな保育所「旭ヶ丘保育園」を有している。
町内には特別養護老人ホーム「寿都寿海荘」(定員50名・以下寿海荘)のほか、障害者支援施設「歌棄(うたすつ)慈光園」(定員80名)、児童養護施設「歌棄(うたすつ)洗心学園」(定員70名)があり、高齢者介護では特養の寿海荘での施設介護を中心にデイサービスや訪問介護も行なっている。人口が2700人あまりの同町の福祉サービス全体を支えているほか、町内の関連施設で働いている職員は数百人規模とみられ、雇用や経済効果の面でもその存在は極めて大きい。
この中で2022年4月に着工したのが、老朽化を理由にした寿海荘の移転新築工事(本年6月にオープン予定)だった。歌棄地区で運営されてきた施設をまちの中心部、開進地区に建て替えるもので、事業主体は徳美会だが、土地代を含め約20億円と言われる事業費のほぼ全額を寿都町が補助(※一部は道も補助)。事実上、役場が丸抱えで特養を建て替える形になっている。
この移転新築工事をめぐる町の対応については、以前から関係者の間で疑問の声が上がっていた。同町在住の田原誠氏(74)もそんな関係者のひとりだ。
「事業主体は徳美会という建前で町は公文書を開示せず、建築業者の選定についても不透明な部分が多い。町は徳美会を盾にして住民不在で事業を勝手に進めている。」(同氏)