解体工事が始まっている「キングムー」(札幌市中央区)
プロ野球日本ハムファイターズの新球場、「エスコンフィールド北海道」の命名権を得るなど、北海道での知名度が急速に高まっている日本エスコン(東京本社・東京都港区)。新球場の玄関口である北広島市内では、駅西口で複合ビル開発を進める一方、札幌市内では新たにオフィスビル開発事業にも乗り出す。さらに、札幌のディスコ・クラブシーンを彩ってきた「キングムー」の土地建物を取得、解体後にはホテル建設を計画するなど、札幌圏の不動産市場で存在感が高まりつつある。
(佐久間康介)
札幌のススキノで異形の外観を放っていた「キングムー」(中央区南7条西4丁目)。このバブルの遺産とも言える建物が取り壊される運びになっている。
キングムーは、バブル期の1991年に北開観光(本社札幌)が旧北海道拓殖銀行やグループ会社の融資を受けてオープンさせたディスコ。その奇抜な外観が人気を集め、札幌のディスコ・クラブシーンを駆け抜けていったことで知られる。
バブルがはじけた後は、札幌市や旧大蔵省の差し押さえを受け競売により所有者が変更、2008年頃まで営業が続いた後、閉鎖された。ところが14年になって三新(本社東京)が土地建物を取得、16年4月末にテーマパーク型ダンスクラブ「KING∞XMHU」(キングムー)として再オープンした。しかし、それも23年5月27日に営業を終了、再オープンから7年間で延べ100万人が来店したが、再びシャッターが降りるという経緯を辿った。
そんな中、同年9月に三新から土地建物を取得したのが日本エスコンだった。土地には西京銀行(本店・山口県周南市)による極度額21億円の根抵当権が仮登記されている。動きは早かった。取得から1カ月も経たない同年10月中旬、同社は「キングムー」内部の設備機器類の解体工事を開始。内部の解体を終えた12月末から建物の外周には足場が組まれ、年明けから本格的な解体工事が始まる。解体業者はビケンワーク(本社登別)とシンヨウ(本社札幌)。工事期間は今年の3月31日まで。
日本エスコンは、隣接する「ススキノラブホテル3」も同時に取得してここでも解体工事に入っており、2つの建物跡地に新たな建物を計画。