告発・陸の蟹工船〈3〉
牧場主「いわば里親」

2024年01月号

「虐待の正当化は当事者らの尊厳を奪うことになる」と原告代理人ら(11月28日午後、札幌市内)

障碍者虐待問う裁判、弁輪始まる
恵庭市は当事者間の雇用関係否定


長期間にわたる不当労働行為や年金詐取などが指摘される障碍者虐待疑惑で11月下旬、被害を訴える当事者らが起こした裁判が初弁論を迎えた。原告代理人は意見陳述で、地元自治体による問題の放置や隠蔽の疑いを強く批判したが、自治体側は虐待の事実を否定、隠蔽もなかったなどとして争う姿勢を見せることに。3人の知的障碍者を無給で働かせていた雇用主は、被告の認識では「里親」だったのだという。

取材・文=小笠原 淳

元議長への忖度、市は否定


 11月28日午前。
「原告たちには、知的障碍があります。しかし原告たちは障碍者である前に、私たちと同じ人権を持つ一人の人間です」
 船山暁子弁護士(札幌弁護士会)の意見陳述に、法廷をほぼ満席にした傍聴人たちが耳を傾ける。
「健常者に対して許されないことが障碍者相手であれば許される――、そのようなことはあり得ません」
 本誌2023年10月号から報告を続けている、知的障碍者虐待・年金詐取疑惑。道央・恵庭市の牧場で長期間にわたり(最長45年間)無償労働を強いられたという男性3人が起こした裁判が、札幌地方裁判所(布施雄士裁判長)で最初の口頭弁論を迎えた。訴えを受けたのは牧場関係者2人と、当時の虐待を放置あるいは隠蔽したとされる恵庭市。初弁論の時点で牧場側はとくに具体的な反論を出していないが、一方の恵庭市は虐待隠蔽などを否定、請求棄却を求めて争う姿勢を見せた。

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原告男性らは冷暖房や上下水道などが不充分な小屋に寝泊まりし、休みなく牧場労働を続けていたという
(原告側提供)=画像の一部加工は本誌

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